研究課題/領域番号 |
23330177
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
北川 慶子 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (00128977)
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研究分担者 |
新井 康平 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10222712)
高山 忠雄 鹿児島国際大学, 社会福祉学研究科, 教授 (20254568)
韓 昌完 琉球大学, 教育学部, 准教授 (90599622)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 災害時要援護者 / 避難所生活 / 避難生活リハビリプログラム / GIS・避難実験 / 異分野融合 |
研究概要 |
自然災害被災からの生活復帰の要因は、早期の災害・避難情報の入手による安全な避難と避難生活の在り方である。①災害時要援護者の生命の安全を守る「災害・避難情報の提供・伝達方法」の開発、②避難所での生活機能低下防止の「避難生活リハビリ・プログラム」による円滑な生活復帰支援方法の研究が本研究の目的である。それは、これまで6年間の地域防災研究の成果をもとにしたさらなる要援護者支援研究を深化させるためである。 本研究の研究対象地域は、低平地であり、水害の危険性が大きい佐賀県域を中心として、3 年間に亘る研究に取り組むこととした。本研究は、異分野融合型の研究チームの強みを発揮する研究体制であるため、①高精度GPSを利用した災害情報・避難情報とその適切性および安全な避難の実験、②医療・保健・福祉サービスの継続的利用支援、③避難生活・仮設住宅・自宅復帰リハビリ・プログラムの理論による生活復帰モデルの立案とその試行を、諸外国に照らし合わせて検討し、避難所・仮設住宅の評価を試み、生活復興は避難の時点から始まり、その質が復興の速度と質を決定する要因であるという結論を得た。 避難・避難所研究成果は、関係諸学会等で報告した。また、基盤情報発信(避難準備・避難勧告・避難指示)の自治体における防災訓練の在り方と参加者調査を分析し、その適切性を検証した。避難所や仮設住宅の質の分析のため、避難所・福祉避難所・仮設住宅・在宅復帰の過程で切れ目のない医療・福祉サービスの受給体制を、共通の課題を持つ諸外国と比較検討し、要介護者へのサービスとリハビリの課題を抽出した。「避難生活リハビリ・プログラム」開発の3年目の完成に向けて、要援護者の避難支援とその支援者となる地域包括支援センターの支援役割、福祉避難所の在り方と防災意識啓発の方法論を考案(防災かるた)し、地域の要援護者に対する意識啓発活動の実践を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
①要援護者の早期避難については、既に避難チャートを施設から避難所の踏査によって作成したことをもとに、福祉避難所の検討を行ウことができたために研究を早く進展させることが可能となった。②避難所生活リハビリプログラムは、避難所だけではなく、仮設住宅および自宅復帰のあらゆる段階で必要であることを、避難所での調査のみに頼ることなく仮設住宅(岩手県)において行ったことから課題解決への進展が見られたためである。現在、最終年度へ向けて研究は順調に推移している。避難所の生活機能低下予防のための福祉避難所についての調査研究は、模擬福祉避難所の検討を行っており、平成25年度に3大学をネットでつなぎ、避難所の質についてのシンポジウムを計画しているなど、当初計画よりも早く推移している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、東日本大震災の前に申請し、採択された研究であったが、同震災は、本研究で取り組もうとしていたことすべてが問題・課題として現出した。 本研究では、被災地の現状の調査や復興の状況のデータも取り入れながら研究を進めてきておいる。震災前の全国の要援護者施設の調査を実施し、データを有しているところから、震災前後の減殺意識の変化をとらえるために全国の要援護者当施設の防災意識とその普及を行うために、防災教育とも連携しながら調査研究を進行させた。また、要援護者の生活復帰には、リハビリ理論をもとに避難所、仮設住宅の質の比較調査を行い、生活復帰と生活環境の及ぼす要因を追求してきており、その検証は平成25年度に行う予定である。 特に災害時要援護者の避難行動が、その後の被災生活からの再起・復興に大きく作用するために、避難支援が単なる避難支援ではなく生活復興を視野に入れた支援となるべく、支援者の質の確保と支援者養成の必要性を検討しなければならない課題が顕在化したために、平成25年度には新たな視点から本研究を進行させていく。
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