研究課題/領域番号 |
23330179
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
門田 光司 久留米大学, 文学部, 教授 (50269081)
|
研究分担者 |
比嘉 昌哉 沖縄国際大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50342431)
鈴木 庸裕 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (70226538)
半羽 利美佳 武庫川女子大学, 文学部, 准教授 (70330503)
大門 俊樹 東京福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (80594647)
奥村 賢一 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (90584699)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | スクールソーシャルワーカー / スーパービジョン / 学校ソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究計画は、開発したスーパービジョン・プログラム(以下、SVPと記す)の有効性を検証することにある。検証方法では、スクールソーシャルワーカー(以下、SSWと記す)に開発したSVPを実施する実施群とSVPを実施しない未実施群において、1年後の両群の結果を比較分析していく。 平成26年度にSVPを実施した対象者数は、実施群ではSSW経験1年目13名、未実施群はSSW経験1年目7名である。なお、SVP実施群は、2か月に一度グループスーパービジョンが年間6回受ける体制下にある。平成26年度はSSW1年目のため、児童・家庭・関係機関との関わり方及び支援方法についてのスーパービジョンが実施された。他方、SVP未実施群は、スーパービジョンを受ける体制がない。 SVPの実施方法では、平成26年度に開発したSVPチェックリスト(「児童生徒への支援技能項目」23項目、「家族への支援技能項目」13項目、「学校/地域への支援技能項目」17項目)を用いて、SVP実施群には1学期、2学期、3学期に1回づつ、計3回、SSWにSVPチェックリストを実施してもらった。他方、SVP未実施群に対しては、SVPチェックリストを1学期と3学期の2回、実施してもらった。 検証結果では、両群比較でSVP実施群は未実施群よりも児童や保護者とのコミュニケーション技能、不登校把握技能、児童虐待発見と対応技能、関係機関との協働技能などに支援技能項目でチェック数が多かった。これらの支援技能は初任者のSSWが初めて業務を行っていくうえで重要な支援技能でもあるため、平成26年度のスーパービジョンで実施されたものである。そのため、SVPの成果が見られたといえる。 しかし、SVPの成果をさらに検証していく必要があるため、平成27年度も継続して検証作業を実施していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究目的はスクールソーシャルワーカー(以下、SSWと記す)の専門性を向上するためのスーパービジョン・プログラム(以下、SVPと記す)を開発することにある。研究計画では、次の5つの研究を5年間で実施していく。①国内調査の実施(平成23年度)、②海外調査の実施(平成23年度・24年度)、③SVPの開発(平成25年度)、④開発したSVPの有効性の実証(平成26年度)、⑤開発したSVPのマニュアル冊子刊行及び「全国SSWスーパーバイザーネットワーク協議会」(仮称)の設立(平成27年度)である。 平成23年度の国内調査は、SSWのスーパーバイザーを配置している自治体25か所に聞き取り調査を実施した。調査結果では、SSWへのスーパービジョン内容の統一性がなく、各自治体独自で行われている実態が明らかになった。海外調査では、韓国はSSWの人材養成におけるSVPは開発されているが、SSW自身へのSVPの開発が課題であること、アメリカではSVPを開発しているロヤラ大学准教授からのプログラム概要の情報が得られたこと、カナダではピア・スーパービジョンの取り組みのあり方について情報が得られたことなど、有意義な情報収集ができた。 平成25年度は国内及び海外調査、文献研究を踏まえて、SVPの開発として、「スクールソーシャルワーカー・スーパービジョン・チェックリスト」を作成した。そして、平成26年度はこのチェックリストを活用して、SSW経験1年目の20名を対象にSVPの実施群と未実施群に分けて、実際に1年間、検証した。検証結果では、SVPの実施群に支援技能の向上が見られたが、さらなる継続的検証を要した。そこで、平成27年度も継続してSVPの検証を実施していく。 以上より、平成23年度、平成24年度、平成25年度、平成26年度に予定していた研究計画はおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、平成26年度に引き続き、開発したスーパービジョン・プログラム(以下、SVPと記す)の検証をしていく。検証方法は、平成26年度と同様に、①開発した「スクールソーシャルワーカー・スーパービジョン・チェックリスト」を活用し、SVP実施群のスクールソーシャルワーカー(以下、SSWと記す)には1学期・2学期・3学期に自己評価してもらう。SVP未実施群には1学期と3学期に自己評価してもらう。②SVP実施群には、1年間で6回のスーパービジョンを実施していく。そして、③SVP実施群と未実施群の比較分析からSVPの成果を検証していく。また、開発したSVPの有益性、有効性の国際評価を精査するため、海外のSSW等から意見集約を図っていく。 さらに、平成27年度は、開発したSVPとその実施方法マニュアル、検証成果をまとめた冊子「スクールソーシャルワーカーのためのスーパービジョン・プログラム」を刊行し、SSW事業を行っている教育委員会やSSW、関係団体に配布及び研修事業を行っていく。 そして、「全国SSWスーパーバイザー・ネットワーク協議会」(仮称)を設立し、今後もこの協議会を基盤にSSWの専門性を向上していくためのスーパービジョン・プログラムの実施及び開発を継続していく。
|