研究課題/領域番号 |
23330184
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
訓覇 法子 日本福祉大学, 福祉経営学部, 教授 (10329766)
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研究分担者 |
笹川 修 日本福祉大学, 地域ケア研究推進センター, 研究員 (20469042)
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キーワード | 高齢者福祉 / 長期ケア / 要介護高齢者 / サービス・コスト格差 / 日本とスウエーデン比較 |
研究概要 |
平成23年度の研究実施計画に基づく主な作業は、研究目的である10年間時系列データによる日本・スウェーデン二国間の高齢者ケアのサービス・コストの発展・推移比較のためのデータセット作成作業(自治体抽出、抽出自治体からのデータ収集、データクリーニングなど)であった。日本では自治体の協力を得て、介護保険制度創設以降の10年間分の既存データは、「要介護認定データ」と、国保連合会から各保険者に提供される月毎の「保険者向け給付実績情報」と「介護保険給付等審査決定請求明細情報」の3種類を収集することであった。合計20の保険者に依頼を行い、全国を代表するデリタセット(高齢者年齢別割合など)を重視して、4保険者(中核都市1、特例市1、一般市1、広域連合1)のデータ収集をめざした結果、データ提供の承諾を取り付け、収集を実施した。高齢者一般の健康推移分析のために、日本大学「健康と生活に関する調査」(代表研究者斎藤安彦、2001,2003,2006,2009年のパネル調査)の協力を得て、研究連携を行うことを決定した。 スウェーデンの分析データは、国民生活条件調査・健康調査(ULF)、スウェーデン社会庁のケア・サービス・データとフィールド調査(税均衡システム基礎調査、合計8自治体)を内容とする。既に、第一次分析を試みたが、主な結果としては、2005年以降の若年高齢者の増加に対して、後期高齢者率は安定、女性の割合が男女間の死亡率格差の減少により減少傾向、75歳以上の年齢グループにおける夫婦世帯の増加、すべての年齢グループにおける軽度あるいは深刻な不健康な人の割合(特に後期高齢者)やケア・ニーズの減少(平均寿命の上昇)サービス・コストの半分が最高齢グループで消費されているが、その割合は10年間安定している、などであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スウェーデンのデータ収集とデータセット作成は計画通りに進展し、既に第一次分析を行った。日本のデータ収集は、抽出自治体作業に時間がかかったが、抽出作業は終了し、データセット作成のための諸作業はおおむね順調に進展している。日本のデータ収集に時間を要した理由は、一部の保険者からデータ提供の協力を得られなかったことによる。データ提供が困難であった主な理由は、保険者が独自で管理する要介護認定データの第1期(2000-2002年)と第2期(2003年-2005年)のデータの破棄が行われていたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、計画通りデータクリーニング完結後、両国のデータセットの本格的な比較分析を実施する。さらに、高齢者一般の健康状態などに関する10年間の推移の分析を、日本大学「健康と生活に関する調査」(代表研究者斎藤安彦、2001,2003,2006,2009年のパネル調査)との研究連携により実施する。先行研究のレビューなどにより、高度な比較モデル(指標化や解析手法など)の構築を行う。分析結果を抽出保険者に返しながら、結果の解釈の妥当性を検討するために、必要に応じて追加調査(自治体職員のインタビューなどによる質的データの付加)の実施を計画する。
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