研究課題/領域番号 |
23330187
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
黒木 保博 同志社大学, 社会学部, 教授 (20121593)
|
研究分担者 |
中嶋 和夫 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (30265102)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 社会的リスク / ソーシャルワーク理論 / 東アジア・モデル構築 / ソーシャルワーク実践 |
研究概要 |
本研究では東アジア地域を核にしながらも東南アジア地域との関連づけを考え、これらの地域で発現している「多文化社会の中での社会的リスク問題に対して、ソーシャルワーカーの対人援助サービス実践はどのような理論モデルで対応していくべきか」を追求している。とりわけ、この地域に特有な外国人労働者・移住(Migrant)女性を対象にした多文化社会問題、国際結婚問題、子育て問題を主なる研究対象として、その実態を明らかにすることを目的としてきた。また質的・量的調査で収集したデータの分析から東アジア地域のソーシャルワーク理論と実践モデルを構築していく目的もある。さらに多文化共生に関するカリキュラム内容、実習をいかにすべきかも研究している。 今年度は、1)外国人労働者・移住女性問題グループ、2)国際結婚問題グループ、3)子育て問題グループの3グループ研究体制で取り組んだ。1)はタイ・チェンマイでのインタビュー調査を実施した。外国人労働者・移住女性を支援している団体、ネットワーク団体などで調査した。2)では、昨年度研究の継続から、国際結婚によって韓国で生活をしているベトナム女性を訪問し、インタビュー調査を行うことができた。また韓国での多文化共生支援センターでのインタビュー調査を実施した。3)においては、昨年度研究の継続から、韓国での家庭委託支援センター、里親団体、児童養護施設等、子ども虐待へのサポートについてインタビュー調査を実施することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は1)外国人労働者・移住女性問題グループ、2)国際結婚問題グループ、3)子育て問題グループの研究体制で取り組んだ。 1)では外国人労働者・移住女性問題の実態を把握するためにタイ・チェンマイでのインタビュー調査を実施したが、調査のサポート体制を得ることができたことから、現況理解ができたと評価できる。しかしながら、やはり調査時間の不足から十分な分析ができるには至っていないと思われる。 2)では、国際結婚によって韓国で生活をしているベトナム女性を訪問し、インタビュー調査を行うことができたことから、ベトナム花嫁側と韓国花婿側の実態把握ができたと評価できる。また韓国政府が力を入れている多文化共生支援センターの実情も理解ができたと思われる。3)においては、昨年度は2度にわたる韓国での家庭委託支援センター、里親団体、児童養護施設等にて、子ども虐待へのサポートについてインタビュー調査を実施することができ、また資料収集と翻訳も着実に進んだと思われる。 以上のことから、計画の70%が遂行できたと評価できる。
|
今後の研究の推進方策 |
この研究も2年間の研究期間を経たことから、最終年度を迎えている。今後の研究の進め方としては、2年間の研究データをもう一度振り返り、精査することが必要である。さらにはこの精査から、まだ不足している調査を早急に取り組む方策が求められている。 1)については、ベトナム、タイにおける実態調査ができたことから、他の東南アジア地域での調査も対応策として考えている。2)についてもミャンマー等の花嫁国の実態を把握することも検討すべきと考えられる。3)においては、韓国と共に日本での実態調査を実施する必要があると思われる。 参加してくれた共同研究者による研究会を開き、成果をまとめることになる。
|