研究課題/領域番号 |
23330191
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
筒井 孝子 国立保健医療科学院, その他部局等, 統括研究官 (20300923)
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研究分担者 |
松繁 卓哉 国立保健医療科学院, その他部局等, 研究員 (70558460)
大夛賀 政昭 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), その他部局等, その他 (90619115)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 社会福祉関係 / 政策研究 / 応用数学 / 解析・評価 |
研究概要 |
本研究の目的は、第一に、地域包括ケアシステムの整備に包含されることとなったインフォーマルな互助機能を可視化し、これらの定量的な評価をするための尺度の開発である。なお、この際には、互助機能を測定するために、互助に関連する概念の整理を行う。 第二として、この互助機能の評価を臨床現場に応用するために地域包括ケア圏域全体として評価する方法を確立する。第三に、個人別、圏域全体の互助機能を評価した結果を自治体および地域包括支援センター職員がどのように利用すべきかを、研修用の資料(マニュアル)として提供することである。 平成24年度は、昨年度、整理を行った互助の概念に沿った評価項目を開発するために、地域包括ケアの先進地域において、とくに独居高齢者を対象としたタイムスタディ調査を実施した。この結果からは、独居高齢者の自助機能と、親族や隣人からの互助や、その他の社会保険制度によって提供されていたサービスが、それぞれ明らかになった。また、同時に、互助を担っている地域に在住する、いわゆる一般住民に対するヒアリング調査や意識調査を実施し、日本における互助のありかた、互助の提供に関する意識について評価するための調査項目の素案を作成した。 さらに、昨年度には、日本で提案されている地域包括ケアシステムの構築のための方法論を再度検討することによって、開発した互助の評価項目においても、「セルフマネジメントへの支援/個人の能力向上」への支援を追加する必要性が確認された。これは、いわば自助からの互助への変遷過程として存在する「システム化された自助」に関する概念の必要性を示唆している。なお、この成果は、厚生労働省老健局長が主催する「地域包括ケア研究会2012」の検討会において資料として提出され、その説明を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、ヒアリング調査やタイムスタディ調査による互助の担い手によるケア実態の調査により、互助の評価項目の素案について、作成することができた。また、この評価項目の検討を通して、互助については、「自助」「互助」「共助」「公助」といった四つのケア提供主体のうち、自助についても検討することが必要であることが分かった。 これについては、今年度、地域住民や地域包括ケアシステムを担う専門職に対し、調査を実施することにより、調査項目に反映する予定である。23年度から開発を進めている数理モデルのプロトタイプについても、引き続き、地域のケア圏域における自助・互助機能を反映した「地域包括ケアシステム」を表現できる数理モデルの開発を試みる。
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今後の研究の推進方策 |
25年度においては、複数の地域包括ケア圏域を対象に、昨年度まで検討を行ってきた互助や自助機能を評価するためのWHO-DAS調査項目を含んだ質問紙による調査を一般住民へ実施する。 また、専門職に対しても、自助や互助に対してどの様な働きかけを行っているかについての質問紙調査を実施する。調査データから開発された自助の視点を含んだ「システム化された互助」機能の評価項目については、地域住民へのヒアリング調査を通して、検討を行う。 さらに、23年度から開発に着手している複雑ネットワークを応用した社会ネットワークを対象とした新たな数理モデルの開発を継続する。なお、この数理モデルの開発の試行には、24年度に定義された地域包括ケアシステムにおける互助機能を調査項目や25年度に予定している自助機能を調査項目としたデータを利用する。
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