今年度の研究においては、平成23年度から平成25年度までに検討してきた地域包括ケアシステムにおける互助機能の評価を踏まえ、自助の視点を踏まえた互助の在り方を示した。また、自助から互助への変遷過程に発生するものとして「システム化された互助」についての理論的基盤に関する検討を引き続き行った。 これらの検討を踏まえ、「①地域包括ケアシステムにおける自助の視点を踏まえた互助機能を可視化する評価項目を用いた調査」においては、任意に選定されたA市に在住する65歳以上の高齢者及び40歳以上65歳未満の住民を対象に調査を実施し、地域包括ケアシステムにおける互助の類型のひとつとして社会参加等の頻度について実態把握を行った。 「②地域包括ケア評価指標の複雑系ネットワークモデルへの適用」については、先のA市において得られたデータを分析したが、評価指標を用いて得られたデータは偏差が大きく、複雑系ネットワークモデルへの適用に際して、妥当性を検証するには至らず、引き続き複数の自治体で調査を実施することとした。これに関しては、引き続き検討を行う必要があると考えられた。 「③地域の自助の視点を踏まえた互助機能評価結果の検討委員会の設置」について、同名の学識者、地域での社会参加への活動を勧奨する自治体の担当者等、多領域の人々を要する検討委員会を設置し、地域包括ケアシステムの構築とそのシステム化に至る過程に互助の評価のレベルをどのように位置づけるかの検討を行った。
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