研究課題/領域番号 |
23330199
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
山 祐嗣 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80202373)
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研究分担者 |
林 創 岡山大学, 教育学研究科, 准教授 (80437178)
平石 界 京都大学, 心の未来研究センター, 特別教育研究助教 (50343108)
岸本 寛史 京都大学, 医学研究科, 准教授 (90397167)
山 愛美 京都学園大学, 人間文化学部, 教授 (00230300)
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キーワード | 文化 / 思考 / 深層心理学 |
研究概要 |
本研究の目的は、西洋の低コンテクスト文化・東洋の高コンテクスト文化という枠組みで認知や表現の文化差を説明するということである。推論班、心の理論班、表現班という体制で研究を行った。平成23年度は、実証的研究はできなかったが、思弁的な理論研究、実証研究の準備・計画が行われた。発表された論文や書籍は、本研究の前段階のもので、平成23年度時点では、成果はまだ学会発表等の段階にある。研究代表者で推論班の山祐嗣の理論的研究は、London Reasoning Workshopにおいて、'Culture and inference : High context and low context'というタイトルで発表された。従来、西洋と東洋の文化差は、西洋の個人主義・東洋の集団主義あるいはその個人レベル(西洋の独立的自己・東洋の協調的自己)で説明されてきたが、その問題点を批判し、推論についてこれまでの研究で報告された西洋・東洋の差異を、低コンテクスト・高コンテクストの枠組みで説明した理論的研究である。 研究分担者で推論班の平石界は、進化的な視点から推論の文化的適応の研究を進めている。その一部の成果は、Lancaster大学における国際シンポジウムで発表された。心の理論班の林創は、まだ非常に少ない心の理論の働きにおける文化差について、レビューしかつ考察を行った結果が成果として表れている。また、表現班の岸本寛史は、コンテクストの使用に結びつく言語化の過程について考察し、それらが成果として表れている。同じく表現班の山愛美は、日本人の文化特殊的な精神構造について論じ、それが国際的な書籍の1章において発表されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実証的な研究は実施できなかった。しかし、予想以上に、理論的な枠組み構成がすすみ、なおかつ、推論班、心の理論班、表現班相互の連携が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、推論班と心の理論班は実証的な研究を行う。とくに推論班は、ウェブサイトなどを利用して、比較文化的な実験を実施する。表現班は、ナラティヴや神話の比較文化的な視点から分析を行い、日本人が高コンテクスト文化を構成していることの裏付け研究を行う。
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