研究課題/領域番号 |
23330199
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
山 祐嗣 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (80202373)
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研究分担者 |
山 愛美 京都学園大学, 人間文化学部, 教授 (00230300)
平石 界 安田女子大学, 心理学部, 講師 (50343108)
林 創 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80437178)
郷式 徹 龍谷大学, 文学部, 教授 (40332689)
岸本 寛史 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90397167)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 文化 / 思考 / 深層心理学 |
研究概要 |
本研究チームは、推論班、心の理論班、表現班によって構成されている。推論班の山祐嗣は、条件文確率推論の心理学実験の予備実験を行った。また、「西洋の低コンテクスト・東洋の高コンテクスト」を考慮した理論的枠組みを構築中である。低コンテクスト状況は、コミュニケーションにおいて対話者がどのような行動を行うか予測が困難になり、そこで普遍的なルールを求める傾向が強まるという主張を行っている。また、同じく推論班の平石界は、社会的交換の推論の心理学実験を行い、進化の普遍性と文化特殊性を検討している。心の理論班では、林創に加えて、郷式徹が研究分担者となった。林創は、同じ否定的結末であっても、それが作為によるものよりも不作為によるものは悪いと評価されにくい不作為バイアスについて検討した。東洋人の不作為を低評価しない文化との関わりを検討中である。郷式徹は、課題分析的なアプローチから、既存の心の理論課題を検討している。これによって、日本人が、心の理論課題を通過できる年齢がわずかに西洋人よりも大きいという事実と関連付けようとしている。なお、郷式徹と林創は、児童心理学の進歩2012年版において、過去5年間の日本人による心の理論研究をレビューしている。表現班では、岸本寛史が異動のため研究分担者を離れた。しかし、日本におけるセラピストの記録としてのナラティヴにおいて、共有された暗黙の情報に依存した表現が用いられていることを発見し、日本人のナラティヴにおける主語の脱落という視点から分析を行った。同じく表現班の山愛美は、日本の神話の特徴について分析を行った。日本の創世神話の特徴は、混沌の中から何かが生まれるという特徴をもち、実際、古事記において、イザナギとイザナミが登場するまで、非常に長い混沌とした時期があることが語られている。これは、西洋の神話によくみられる絶対的な存在に始原をもつ特徴と対照的である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際のデータ収集などはやや遅れているかもしれないが、理論構築等については、予想以上のインパクトがある成果をあげている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、E. Hall (1976)による「西洋の低コンテクスト・東洋の高コンテクスト」という枠組みで文化差をとらえようと試みた。今後は、このコンテクストについて、詳細に検討する必要がある。そして、低コンテクスト状況で、いったいどのようなことが必要なのかという視点から、論理、ルール、科学によるコミュニケーションをとらえるというアプローチで、理論的・実証的両面の研究を行う。
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