研究課題
本研究チームは、推論班、心の理論班、表現班によって構成されている。推論班の山祐嗣は、東洋人は弁証法的な推論を行うかということを調べるために、日中英の比較文化研究を行った。高コンテクスト文化とされる東洋人は価値観レベルでは弁証法的だったが、実際に弁証法的な推論を行うということは確かめられなかった。また、条件文の確率推論について日米比較文化研究を行った。その結果、日本人、米国人とも確率論的な規範に従っていることがわかった。また、平石界は、集団内での資源分配ルールと、一対一の社会的交換ルールの関係について、両者の境界が曖昧である場合には資源分配ルールとしての解釈がなされ、ルールを守るためには外集団排除が必要とする推論がなされることが確認されていた。本年度はこの課題を米国におけるWeb調査によって検討し、日本国内とほぼ同様の結果が得られることを確認した。心の理論班の林創は、これまでに得た作為と不作為の道徳的判断について、再分析を行った。たとえ意図と結果が同等であっても、不作為による悪事は、作為による悪事よりも許容されるように感ずる。また、意図も不作為の方が作為よりも弱いと判断されることが明確になった。また、郷式徹は、他者の主体的な欲求に基づいてその人物の心的状態を推測する誤信念課題の社会的文脈を検討した。そこで、文脈を単純化した低コンテクスト文脈の課題と、課題に回答する際には無視し得る文脈を加えた高コンテクスト文脈の課題を、成人を対象として比較することで、文脈による違いが見られるかを検討した。その結果、成人の誤信念の推測に対して文脈が影響することが示された。表現班の山愛美は、バウムテストの解釈の再検討を行い、深層表現としてのバウムテストおよび風景構成法を、低コンテクストされるフランス人と高コンテクストとされる日本人に実施し、いくつかの差異を発見した。この差異は現在分析中である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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龍谷大学論集
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