研究課題
本研究は「ワーキングメモリ」をキーワードに,1人ひとりの子どもの学習ニーズに合った先進的なカリキュラム開発と教育のシステム作りを目指している。本年度の目的は,昨年度までの研究成果を踏まえ,学校等でワーキングメモリのアセスメントを実施し,学習に困難等を示す児童・生徒が授業に参加できるような支援方略を実践し,その効果を検討することである。大阪と鹿児島の小学校,広島の小学校,中学校,岡山の特別高等支援学校においてクラス単位でワーキングメモリのアセスメントを実施した。それらの学校では,教員を対象に講習会を行い,ワーキングメモリの小さい児童生徒でも授業に参加しやすいユニバーサルデザインの授業実践を工夫するように依頼した。そこでは,6つの授業場面(授業の構成,学習形態・学習環境・学習のルール,指示の出し方・発問や説明の仕方,教材・教具,板書の工夫・ノート指導,子どもの発表・作文)における支援方略(情報の整理,情報の最適化,記憶のサポート,注意のコントロール)を含んでいた。また,中学校,高等学校では,ワーキングメモリのアセスメントの結果を踏まえ,一人ひとりの生徒に合わせたサポートファイルを作成し,そこに生徒が得意なことや苦手なことなどを記載し,それに対応する方略を考えることで,自律的な学習を促した。主たる成果として,以下が得られた。第1に,従来型の授業において,ワーキングメモリの小さい児童生徒は,国語や算数(数学)において学習の苦手なことをより強く認識していた。第2に,ユニバーサルデザインの授業実践を工夫した授業実践では,ワーキングメモリの小さい児童・生徒の授業参加が向上した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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