研究課題/領域番号 |
23330204
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
栗原 慎二 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80363000)
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研究分担者 |
神山 貴弥 同志社大学, 心理学部, 教授 (00263658)
沖林 洋平 山口大学, 教育学部, 准教授 (20403595)
米沢 崇 広島大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (20569222)
石井 眞治 比治山大学, 現代文化学部, 教授 (60112158)
小玉 有子 弘前医療福祉大学, 保健学部, 准教授 (10569601)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 教育系心理学 / 教師トレーニングプログラム / 包括的生徒指導 |
研究概要 |
平成24年度は,1)改訂版TTPの開発・実施・評価,2)改訂版CSCGAの開発・実施・評価,3)海外調査,4)Webサイト構築のための協議を予定していた。1)「改訂版TTPの開発・実施・評価」:24年度は新潟市で72時間のTTPを実施した。また,年度末には,全体会議を招集し,その質的データを元に25年度のTTPモデルを開発した。具体的には,研修時間で効果に差があり,おおむねエントリーレベルで36時間,アドバンスレベルで72時間,エキスパートレベルで108時間程度の研修が妥当と思われ,その数字を元に基本モデルを検討した。2)「改訂版CSCGAの開発・実施・評価」:CSCGAの実践は各地で進んでおり,24年度には香港教育局等の教育関係者から評価を受ける機会を設け,一定の評価を得た。総社市では中1の学力が岡山県内17市町でトップ,不登校の発生率が約30%の減少という成果があり,CSCGAの効果を裏付ける結果となった。3)「海外調査」:研究代表者・分担者でニューヨークおよびシカゴの学校および教育関連機関(教育委員会,CASEL)を訪問し,視察調査を行った。その成果については,紀要論文としてまとめた。4)「Webサイト構築のための協議」:年度末に研究者会議を開催し,協議を行った。その結果,単なる情報提供サイトではなく,学習が可能なe-Learningサイトとすることが妥当との結論となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の目標は,1)改訂版TTPの開発・実施・評価,2)改訂版CSCGAの開発・実践・評価,3)海外調査,4)Webサイトの構築であった。 この目標に照らしたとき,最大の困難は,実際のTTPとCSCGAを実施する場を確保すること,また,単に確保するだけでなく,こちらが質・量共に十分な効果が出ると想定できるだけの実践を行うことであった。また,その評価方法についても,評価ツールが開発されていないため,困難が伴うことが予想された。 このような観点から考えると,平成24年度に,質・量共に研究に必要なだけの実践ができたこと,また,アセスメントツールの開発が進んだことは,本研究の全体を考える上で,最も重要な部分を達成できたことになる。その意味で,本研究はおおむね順調に進んでいる。 課題としては,今年度のTTP開発は,新潟市教育委員会からの協力をえて行われた部分が大きかったが,新潟市教委が当初の計画を反故にするといった不測の事態が生じたため,継続研究ができなくなった。しかし,この点についても,類似の研修会を自主的研修という形で新潟市内で実施することが可能となったため,問題点はクリアできた。さらに,岡山県総社市の実践は,当初は24年度で終結の予定であったが,中1の学力が岡山県17市町でトップになったこと,不登校の発生率が約30%の減少となったことなどの成果により,更に3年間の継続が決まり,継続的研究が可能になった。 以上により,順調に成果も上がっており,今後の展望も十分にあると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,24年度の取組を元に,総社市,加古川市,新潟市等で,CSCGAとTTPの実践を行う。また,プログラム評価を行って,改訂版CSCGAとTTPを作成する。このプロセスを通じて,24年度に開発したCSCGAとTTPに更に改良を加えると共に,学校の現実に即した,実践可能性の高い,練り上げられたCSCGA,TTPを開発する。当初は広島市での実践の予定であったが,現在,広島市では平成20年度に研究代表者等が開発したCSCGAをベースとした実践が展開されてはいるが,実践に関しての当方の関与が十分ではないこと,市教委と当方とのスタンスに若干の違いがあることから,実践に関しては,他地域で行うことがよいと判断している。なお,広島市との連携協力の関係は継続しており,今年度はTTP開発に関する協議を続けること,また,26年度に,可能であれば,教育センター等の研修プログラムとして,開発したTTPを組み込むことを検討課題としたいと考えている。 また,24年度は,評価ツールの開発についても,一定の前進が見られた。25年度には,24年度に得られたデータを元に,項目の精選等に取り組み,最終的な評価ツールを完成させることを目指す。さらに,その評価ツールを用いて,香港等との国際比較調査にも取り組むことを目指している。 国際調査については,これまで,オーストラリア,香港,アメリカを訪問した。特にアメリカ・シカゴでの視察では示唆に富む内容が多く,今年度も視察を予定している。また,当初の予定にあったフィンランド等の視察も行う必要があるため,25年度では,研究分担者が視察地を分担して,多くの海外情報を入手することを目指す。
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