研究課題/領域番号 |
23330205
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
丸野 俊一 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (30101009)
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キーワード | 対話型教育 / 教師の熟達化 / 授業実践過程での思考の可視化 / 認知的・情動的共感性 |
研究概要 |
子ども主体の話し合う・学び合う対話型教育の中では、ものの見方や考え方という創造的・批判的思考力の高まりのみでなく、情動的な絡み合いを通した共感性(認知的・情動的)や社会的協調性が育まれる可能性がある。だが、従来の研究においては、ものの見方や考え方の広まり・深まりという思考面の育成のみに焦点があたり、共感性(認知的・情動的)や社会的協調性が如何に育まれていくかについての生態学的妥当性の高い縦断研究による科学的分析は皆無の状態であった。 そこで本研究は、小学校教育現場との共同研究の中で、(1)教師の対話型教育実践力を育む教育支援、(2)対話型教育実践過程での子ども同士あるいは子ども達と教師との間の思考内容の可視化を図る分析技法の開発、(3)教師の熟達化と子どもの思考や共感性(認知的・情動的)や社会的協調性の発達との相互連関について検討し、以下のような教育的にも重要な知見を得た。 (1)教師の認識論の違いのよって、対話型教育実践による子どもの思考力の高まりが異なる (2)対話型教育の中で、批判的思考の高まりのみでなく、共感性や協調性をも育まれる (3)教師の対話型教育の熟達化の水準に応じて、子どもの認知的・情動的共感性の発達の水準も変化するというように、両者の間には密接な関係がある (4)教師の対話型教育実践過程での、子ども同士の発言を取り上げる・繋げる・絡めるといった思考過程を可視化する分析技能の開発によって、教師の熟達化の水準に応じた教育支援ができる
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度の採択通知が11月であったことから、当初予定していた教育現場との共同研究や授業実践録画取りなどに少し遅れが見られたことで、計画以上の進展は困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題や研究の推進方策は、本年度も昨年と同じである。ただし、昨年の段階で計画していた優れた教育実践の録画教材の開発などが不十分であったので、本年度は、この点に特にエネルギーを注ぎながら、研究計画のさらなる充実を図って行く
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