子ども主体の「話し合う・学びあう」(対話中心)授業実践力を高め、現場教育への定着化を図るために、次の観点から、「学びあう共同体」での研修活動を行った。 第一に、教師の抱く諸観(授業観、知識観、子ども観、学習観、教師観)によって、対話型授業実践内容や子どもの学びが大きく変化することを、実証するために、諸観の異なる教師の授業実践を追跡的に比較対象し、定性的・定量的なデーターの違いを明確化した。また大学生を対象に、「授業を協同的活動の場としてとらえるための認識的信念」を測定し、その差異によって、授業参加の仕方、学びの質、自己省察の深さなどが、どのように異なるかの基礎データを収集した。 第二には、授業を実践する教え手としての教師のメタ認知をいかに向上させるか、また授業に参加する学び手としての子どものメタ認知をいかに向上させるかについて、理論的背景を踏まえ実践を繰り返し、相互の授業活動過程での学びの質的分析を行った。その結果、授業実践過程での、教え手・学び手のメタ認知の改善を促す重要な心理的要因として、”心理的距離の取り方”、”責任制の配分”、”躓きからの学びを保証する場つくり”などが明らかになった。また実践後において、どこに焦点を定め、どの視点から、自己省察を繰り返すかも重要な要因であることが分かった。
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