研究課題/領域番号 |
23330207
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
市川 伸一 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70134335)
植阪 友理 東京大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (60610219)
瀬尾 美紀子 日本女子大学, 人間社会学部, 講師 (90431775)
小山 義徳 聖学院大学, 人間福祉学部, 講師 (90546988)
和嶋 雄一郎 東京大学, その他の研究科, 助教 (20572093)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 学習法略 / 実践研究 / 学習スキル / 認知コスト / 図表活用法略 / 自己質問方略 / 教訓帰納 / 方略使用の文化差 |
研究概要 |
本研究は、「いかにして自発的に学習法略を利用できる子供を育てるか」を明らかにすることを目的としている。これを踏まえ、①方略を自発的に利用する(または利用しない)に至るメカニズムを明らかにすること、②方略使用の文化差を検討すること、③心理学を踏まえた実験授業等を通じて指導法を開発すること、更には④開発された指導法を実践において活用することの4点を研究課題とし、実践・研究の両面から検討を行なっている。今年度は、基礎的研究として、以下の5つの成果が得られた。①まず、英単語の記憶方略を対象にして、効果的な学習法略へと移行できない学習者の実態を明らかにした。②次に、それらを規定する要因を、認知コストという観点から検討した。③さらに、認知コストの影響を、図表利用方略を用いた実験においても明らかにした。④また、方略使用を規定する他の要因を検討するために、図表利用方略を題材にして、図表に対して学習者が持つイメージを解析した。これらに加えて、⑤学習法略の指導の文化差を明らかにするために、シンガポールとの共同研究を開始した。実践的研究としては、以下の3つの成果として得た。①メタ認知的方略の1つである「教訓帰納」に着目し、それらの自発的利用を促す指導法のあり方を、中学生を対象とした実験授業によって検討した。②更に、明らかとなった知見を生かした中学校での実践を行うとともに、他の研究プロジェクトと共同して、通信教材の開発も行った。③最後に、自己質問方略を題材に、これらの自発的な利用を促す大学での実践を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の4つの検討課題(①方略を自発的に利用する(または利用しない)に至るメカニズムを明らかにすること、②方略使用の文化差を検討すること、③心理学を踏まえた実験授業等を通じて指導法を開発すること、さらには④開発された指導法を実践において活用すること)について、基礎的研究(5つの研究成果)と実践的研究(3つの研究成果)の両面から着実に実行している。2年目までは基礎研究を中心として行う予定であったが、実践的研究についも着実に成果を上げており、期待以上の成果と言える。また研究成果の発信(学術論文も刊行、シンポジウムの開催、報告書の刊行)なども積極的に行なっており、当初の計画よりも大きな成果を上げながら進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
現在、月一回の全体会議をベースに研究を進めている。また、年度末には研究成果を広く国内に発信する公開シンポジウムを行なっている。この体制については継続する予定である。昨年度に開始したシンガポールとの共同研究についても一層推進するとともに、実践的研究についてもさらに進める予定である。これに加えて、国際的な書籍も刊行し、成果を国内外に発信する予定である。
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