研究課題/領域番号 |
23330209
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
青木 紀久代 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (10254129)
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研究分担者 |
野村 俊明 日本医科大学, 医学部, 教授 (30339759)
小林 稔 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (70336353)
平野 直己 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80281864)
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キーワード | 学校メンタルヘルス / コミュニティ援助 / ニーズアセスメント / ソーシャル・キャピタル / アクション・リサーチ |
研究概要 |
本研究では、学校内外の援助資源を有効利用するためのアセスメント方略の開発と地域参加型支援システムモデルの構築を目指し、小中学校を対象として複数年にわたる調査研究ならびに実践研究を推進する。 本年度は、子ども一人ひとりの心と身体の健康の成り立ちを、学校生活のみならず生活全般から包括的に検討することを目的とした質問票の作成を主な研究課題とし、「地域力」(ソーシャルキャピタル)に関する文献調査と、現地でのニーズアセスメントもふまえ、包括的学校メンタルヘルス質問票の作成を行った。 1.文献調査:メンタルヘルスとの関連要因に関して、先行研究をもとに整理した。中でも、ソーシャルキャピタルに着目し、これに関する文献調査を行い、質問票の作成ならびに実施にあたっての概念整理や課題の抽出を行った。 2.ニーズアセスメント:現地にて教職員にヒアリングを行い、学校や地域の特徴や、抱えている課題について情報収集を行った。 3.アセスメント項目の精査:質問紙の内容は、研究分担者らとともに検討を行った。これまで日本国内で縦断的に実施してきた学校メンタルヘルス尺度(青木,2007)に加え、学校生活に関する項目、ソーシャルキャピタルに関する項目、様々な援助資源に関する項目、生活や健康全般に関する項目を含むこととした。年齢による質問項目の理解度を考慮し、言葉の言い回しを修正し、包括的学校メンタルヘルス質問票の小学生版と中学生版を作成した。標準化がなされている学校メンタルヘルス尺度を除く、他の尺度に関しては、因子構造の検討などを行い、一定の信頼性と妥当性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
児童生徒のメンタルヘルスにかかわるくらしの中の資源に着目して尺度項目を収集し、質問紙の作成を進めてきた。想定に比して概念定義や関連要因の絞込みに時間がかかったものの、児童生徒のくらしぶりとメンタルヘルスをとらえる包括的な質問票ができたと考える。したがって、研究の進捗状況はおおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、作成した包括的学校メンタルヘルス質問票を複数の地域で実施し、文化差、地域差の比較調査研究を行う。調査地域は、都内、国内離島に加え、海外日本人学校も予定している。また、実践においては、質問票を用いてベースライン調査を実施し、さらに、結果のフィードバックとともに、臨床的介入として学校メンタルヘルス・カンファレンスを行う。なお、モデル校においては、メンタルヘルスの改善と向上を目指す実践プログラムを試行的に実施する予定である。
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