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2011 年度 実績報告書

精神力動的心理療法家のトレーニングに関する開発的研究―国際比較調査を通して

研究課題

研究課題/領域番号 23330210
研究機関京都大学

研究代表者

松木 邦裕  京都大学, 教育学研究科, 教授 (30140768)

研究分担者 大山 泰宏  京都大学, 教育学研究科, 准教授 (00293936)
立木 康介  京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (70314250)
キーワード精神力動的心理療法 / 精神分析 / セラピスト養成 / 国際比較研究
研究概要

23年度の計画に挙げていた(1)海外の精神分析的心理療法家のトレーニング機関での聞き取り調査および参与観察,(2)海外でトレーニングを受けた日本人への聞き取り調査,(3)トレーニングに関連するデータベースの作成をおこなった。
(1)に関しては,英国(タビストック研究所),ドイツ(フランクフルト精神分析研究所,ジグムント・フロイト研究所),フランス(精神分析的相談・治療センター,パリ第8大学),米国(ニューヨーク精神分析研究所)において,研究代表者・分担者が,聞き取り調査と1週間~1ヶ月の参与観察をおこなった。そこでは,受理面接カンファレンス,ケースカンファレンス,スーパービジョンをはじめとする,実際のトレーニング場面に同席するとともに,トレーニングの提供者およびトレーニーに対する面接調査をおこなった。(2)に関しては,英国,米国,ドイツでの訓練修了者,訓練生に関する聞き取り調査をおこない,(1)に関する情報の補完および日本におけるトレーニングシステムの問題点,改善が必要な点に関する分析の視点を得ることができた。
本研究代表者・分担者が収集した上記の諸点に関する情報を持ち寄り,日本のトレーニングシステムの改善点に関する討議,トレーニングに関するデータベース作成のための項目の生成をおこなった。さらには,教育学研究科外国人客員教授として滞在し,訓練生への指導に関わった精神力動的心理療法家から,日本のトレーニングに関して,半年にわたるフィードバックを受けた。
トレーニングのおかれた社会・文化的文脈に関する研究としては,現在進展しつつある中国での精神分析家トレーニングの実態に関する情報収集と比較し,日本固有の文脈に関して明らかにする作業に着手した。また,各国の精神力動的心理療法家トレーニングの発展史,および典拠となるテキスト等に関する調査をおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

23年度計画に挙げていた海外調査に関しては,予想以上の成果を挙げることができた。またそこで得たつながりをもとに,中国等の情報を得ることができ,研究のターゲットが広がった。データベースの作成においては,各国でのトレーニングが必ずしも一律な対応関係にあるわけではないため,項目の作成がやや遅れ気味であるが,総じて,ほぼ計画どおりに進行している。

今後の研究の推進方策

まずは調査データのデータベース化の充実が急務である。この点は,適切な人材の雇用をおこなうことで進めたい。また,平成24年度の推進に関しては,海外の研究協力者の招聘を,同時期に一同に会するようにし,集中的な討議をおこなうこととする。このことで,分散しがちな多国にわたる比較研究の集約をめざす。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The transformation of Rogerian client-centered techniques of psychotherapy in Japan : Background and implications2012

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro OYAMA
    • 雑誌名

      Asia Pacific Journal of Counselling and Psychotherapy

      巻: vol.3 ページ: 10-17

    • DOI

      10.1080/21507686.2011.637567

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 対象の自殺、欠如としての私2012

    • 著者名/発表者名
      立木康介
    • 雑誌名

      臨床心理事例研究(京都大大学院教育学研究科心理教育相談室紀要)

      巻: 38 ページ: 24-27

  • [雑誌論文] 心理臨床のための精神分析史-フロイトと今日の展開2011

    • 著者名/発表者名
      松木邦裕
    • 雑誌名

      臨床心理学

      巻: 11 ページ: 793-797

  • [学会発表] 精神分析という方法をどう学ぶか2011

    • 著者名/発表者名
      松木 邦裕
    • 学会等名
      日本精神分析学会第57回大会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2011-11-18
  • [学会発表] まどろみ-エス、外の思考、大文字の他の性2011

    • 著者名/発表者名
      立木康介
    • 学会等名
      東京大学文学部・人文社会系研究科シンポジウム「フロイトの時代」
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2011-11-05
  • [学会発表] Characteristics of Japanese Psychotherapy, Japanese Mentality, and the Reaction to the atomic catastrophe in Fukushima2011

    • 著者名/発表者名
      大山泰宏
    • 学会等名
      フランクフルト精神分析研究所セミナー
    • 発表場所
      フランクフルト精神分析研究所,ドイツ
    • 年月日
      2011-09-23
  • [学会発表] 心理療法で何かおこっているのか(3)-学派による違いに着目して-2011

    • 著者名/発表者名
      桑原 知子, 大山 泰宏, 畑中 千紘
    • 学会等名
      日本心理臨床学会第30回大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2011-09-04
  • [学会発表] Gleichschwebende Aufmerksamkeitをめぐるパーソナルな見解-精神分析家の方法と分析セッションの頻度、設定2011

    • 著者名/発表者名
      松木邦裕
    • 学会等名
      第29回日本精神分析協会年次大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-06-12
  • [図書] 不在論2011

    • 著者名/発表者名
      松木邦裕
    • 総ページ数
      122
    • 出版者
      創元社

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公開日: 2013-06-26  

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