研究課題/領域番号 |
23330211
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐藤 眞一 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40196241)
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研究分担者 |
中原 純 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (20547004)
権藤 恭之 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (40250196)
平井 啓 大阪大学, 大型教育研究プロジェクト支援室, 准教授 (70294014)
島内 晶 群馬医療福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (80610625)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 臨床心理学 / 高齢者 / 孤立 / 孤独 / 認知症 |
研究概要 |
分担研究①佐藤班:研究1:「高齢者に対する潜在的態度と社会的規範の関連性」米国ワイオミング大学と連携して日米のデータを分析し,虐待観尺度と顕在的および潜在的態度との関連性を検討した。研究2:「孤食の行動学的背景」食事の雰囲気や規律を軽視する者が孤立しがちであることが示された。研究3:「UCLA孤独感尺度第3版日本版の開発」孤独感測定尺度の国際的決定版である本尺度日本版作成のための調査を本年度途中から実施し,妥当性と信頼性を確認した。 分担研究②中原班:「高齢者の社会的ネットワークの変化と孤独感の関連性」昨年度実施した独居男性高齢者への記述データに関して質的分析を行い,配偶者に代わるサポート授受の対象が心理的適応に重要であることを示した。また,居住形態と主観的well-beingの関連を検討するために,高齢者を含む三世代家族の世帯調査を行った。 分担研究③権藤班:「孤独感を抑制する心理的要因の検討」老年的超越に関して調査を行った。その結果,自己・社会的超越は身体機能の低下を契機として主観的幸福感との正の関連が大きくなることが示唆された。 分担研究④平井班:「身体疾患を持った高齢者の孤立・孤独に対する介入方法の開発(実践)」慢性疾患患者のソーシャル・サポート・ネットワーク(SSN)の形成プロセスに影響を与える要因を明らかにするために,がん患者を対象にグループ療法プログラムを実施した。その結果,同病者あるいは医療者とのSSNが形成された。 分担研究⑤島内班:「軽度認知障害(MCI)および軽度認知症者の孤立と孤独の予備的研究」MCIおよび軽度認知症者の記憶愁訴を簡易に測定するために,我々が開発した記憶の自信度尺度(MSSC)の短縮版作成のための調査を行うと共に,もの忘れ外来を訪れる患者とのその家族への面接方法に関する予備的検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究班①および④については当初の計画以上に進展しており,新たな課題設定が可能になっている。研究班②および③については複数の調査を実施しており,今後のさらなる発表が課題となっている。研究班⑤は,認知症高齢者に関する研究の必要性から今年度新たに設定されたため,本年度尺度作成のための調査と患者と家族に対する面接方法について予備的ではあるが,もの忘れ外来での実践的な検討ができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,各研究班がこれまでに行った調査データの分析とその検討を中心に進めていく。特に,新たに作成した孤独感尺度とメタ記憶尺度については,今後行われる面接調査や多面的同時調査に用いられることを念頭において短縮版を作成する。認知症高齢者およびがん罹患患者を含む身体疾患を有する高齢者への実践的研究に結びつく成果を取りまとめていくと共に,研究を進める中で新たに課題となった視聴障害高齢者の孤立と孤独に関する予備的研究を開始する。また,百寿者を含む超高齢者の孤独と孤立に関し検討し,社会的離脱,老年的超越,孤高感等の孤独を低減する視点を明確にしていく。本年度で終了する本研究のさらなる課題としての応用実践に関しては,一人暮らし高齢者のサポート,認知症等の障害高齢者のコミュニケーション促進などについて,高齢者福祉施設,地域行政組織等と連携した研究に結びつけるための準備を行う。
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