研究課題/領域番号 |
23330214
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
石口 彰 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (10184508)
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研究分担者 |
薬師神 玲子 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (30302441)
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キーワード | 実験心理学 / 分散識別 / リスク認知 |
研究概要 |
本研究の目的は、実験的に操作可能な制御不能イベントを設定し、その下で、(1)制御不能イベントの検出や制御不能判断等の認知特性、(2)制御不能イベントの原因帰属で行われる因果推論、(3)制御不能イベントの認知や因果推論に課題や作業への熟達化がどのように影響するか、(4)制御不能イベントとリスク認知との関係、等を明らかにし、最終的には、制御不能イベントの認知に関し総合的なモデルを構築することである。この目的を達成するため、平成24年度の実施計画に則り研究を実施し、以下の成果を得た。 1.「制御不能イベント」研究セミナーの実施(参加人数7名)毎週月曜日に研究セミナーを実施し、研究実施状況や研究計画の検討、研究発表のプレゼン等により、研究計画と成果を共有した。 2.状況A「既成の制御可能なシステムで制御不能イベントが発生する状況」に関し、システムの出力系および応答系の変動の識別を基本とした課題を設定して、以下の成果を得た。 (1)輝度変動の識別 チェッカーボードパターンに輝度変動を加え、その変動の大小を識別させた。結果、通常の分散識別と同様に、分散の大きさとJNDとの間に、Dipper Functionが見られた。 (2)リズム変動の識別 トーン系列に時間間隔変動を加え、その変動の最小を識別させた。このような聴覚系の分散識別においても、顕著はDipper Functionが得られた。 (3)応答系の位置変動の識別 コンピュータ上のカーソルとキーボード操作との間に位置変動を導入し、その変動の大きさを識別させた。その結果、応答系においては分散の大きさとともにJNDが上昇することが見られた。 以上の結果は、Association for Psychological Scienceの年次大会(平成24年5月シカゴ)で、発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画のうち、研究セミナー、状況Aの実験的検討は達成し、成果の発表も行ったが、状況B「あらたに制御可能なシステム構築の途上で制御不能イベントが発生する状況」の検討が、不十分であったから。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、状況B「あらたに制御可能なシステム構築の途上で制御不能イベントが発生する状況」の検討を進めるとともに、次の段階、即ち、(1)生起イベントの確率分布の多様性(量的変動および質的変動)の認知、(2)制御不能イベント認知の熟達化過程、(3)熟達化と意思決定の問題に取り組む。
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