研究課題
本年度は、①前年度行った、両眼刺激の背景にある面の傾きが融合した両眼刺激の視方向に影響するという現象に関する英語論文を書く作業と、②他者が指示した(ポインティングした)対象の位置(方向)を観察者はどれほど正確に判断できるか、調べる実験、③単眼刺激の視方向に背景面が影響を及ぼすという実験を行いAPCVで発表する作業、を行った。論文は現在Vision Research誌に投稿され、改稿中である。この論文の特徴は、両眼融合刺激は背景面が傾いているときあたかもその面に近づくように、その視方向を変えることを示したことである。この研究結果は従来の原理の限界を示すものであり、より複雑な条件における視方向に関する研究の必要性を示唆するものであった。この研究は、研究代表者が来年度、カナダYork大学のOno教授との視方向に関する共同研究へと繋がった。ポインティング実験は順調に進み、その結果を知覚コロキウムに発表した。実験者が対象(眼前の前額面におかれた)を右手あるいは左手の人さし指で指示したとき、観察者の判断した方向は、実際の対象の方向に比べ、実験者の使った手の方向に数センチずれた。しかしながら、実験者の頭部位置、使った人差し指の位置、観察者の報告した位置(方向)から、観察者が方向判断の原点としたと考えられる点は、実験者の両眼の中央付近、顔の前面であった。このことからただちに、人は他者が指差した対象の方向を他者の視方向判断原点の位置を斟酌するとは言えないが、その可能性を示唆する興味深い実験結果である。単眼刺激の視方向に関する実験結果は日本の高松で開かれたAPCVで発表された。参加者の中に視方向の専門家が少なかったので活発が議論とまではいかなかったのが残念であった。英語論文はまだ草稿段階ではあるが、来年度中に投稿可能にしたい。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Attention, Perception, & Psychophysics
巻: 77 ページ: 190-206
10.3758/s13414-014-0746-8
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