本研究は、背景面の傾きが、両眼刺激と単眼刺激の視方向に影響することを示した。この現象は従来の視方向原理で考慮されてこなかった要因が視方向に影響することを示している。また本研究は、被験者が「実験者が指差した方向」を判断するとき、その判断された方向は、実際の方向より実験者が指差しに使った腕の方向にずれることを示した。この時、被験者が“暗黙のうちに仮定したであろう”実験者の方向判断の原点位置は、実験者の視方向原点位置とほぼ一致した。本研究ではまた最近30年ほどの視方向研究の成果をまとめ文献的研究を行うとともに、両眼立体透明視刺激を使い、見かけの奥行量と3次元数量知覚に関する研究を行った。
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