研究課題/領域番号 |
23330218
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
鍋田 恭孝 立教大学, 現代心理学部, 教授 (60297075)
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研究分担者 |
長田 佳久 立教大学, 現代心理学部, 教授 (00133455)
本間 元康 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所成人精神保健研究部, 研究員 (20434194)
小山 慎一 千葉大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40420913)
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キーワード | 触痛覚 / 心理物理学 / 脳メカニズム / ラバーハンドイリュージョン |
研究概要 |
本プロジェクトは、基礎心理学、医学、工学、哲学が連携し、「触知覚」という心理学的現象から「解離」と呼ばれる精神病理の治療可能性までを研究対象としたトランスレーショナル研究である.「触知覚」は痛みの認識という視点を含め、自己と他者の境界線の問題として多いに議論がなされ、自意識との関係で現代哲学の中心的命題の位置にある.一方、精神医学領域では、不安障害の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の一症状として、防御のため自己同一性を喪失する「解離」という精神病理が報告されており、自己意識に関わる「触知覚」の基本原理が深く関与している可能性がある。本プロジェクトは、認知科学の中で蓄積されてきた触知覚の知見を元に、「解離」の精神病理学的メカニズムを脳機能画像法などの神経科学的手法を用いて解明し、最終的に臨床応用に役立てることを目的としている.初年度では、健常者における痛みの触知覚メカニズムを検討するために、視触覚間の感覚間統合における心理物理学的実験をラバーハンドイリュージョンパラダイムによって実施した.その結果、参加者に提示する視覚情報を操作することによって痛みの知覚強度が変化することを明らかにした.現在は論文執筆に時間を割いている.さらに次年度以降で行う脳機能画像手法(functional Magnetic Resonance Imaging : fMRI)用の触刺激装置を空気圧式で作製し(非鉄性素材)、実験の準備を整えた。また本プロジェクトの着想に至るもととなった研究が論文化された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書に記載した健常者の実験を終え、fMRI実験の準備も整えた.
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今後の研究の推進方策 |
当面は平成23年度に取得した実験データを論文化することに集中し、同時にfMRI実験のデータ取得を開始する.また平成25年度に予定している解離性患者のデータ取得のために病院との連携を高め、参加者を確保をしていく.
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