研究課題/領域番号 |
23330220
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研究機関 | 独立行政法人労働安全衛生総合研究所 |
研究代表者 |
高橋 幸雄 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 人間工学・リスク管理研究グループ, 主任研究員 (40312300)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 低周波音 / 複合音 / 振動感覚 / 閾値 / 等感度レベル |
研究概要 |
低周波音による振動感覚は頭部で鋭敏に知覚されるという、研究代表者の過去の研究に基づき、本研究では、独自に定義した「頭部の振動感覚」を測定対象としている。 平成24年度(2年目)前半は、初年度に引き続き、2個の周波数成分(キー成分と付加成分。キー成分は、40 Hzまたは50 Hz。キー成分が40 Hzの場合の付加成分は、16 Hz、25 Hz、または63 Hz。キー成分が50 Hzの場合の付加成分は、20 Hz、31.5 Hz、または80 Hz)で構成した12種類の複合低周波音をテスト音として、「頭部の振動感覚」の知覚閾値、及び比較用の聴覚閾値を測定し、データを蓄積した。閾値の決定には、被験者調整法を使用した。結果は、初年度に得られた予備的な結果を支持するものであった。つまり、聴覚閾値の場合には、テスト音中の周波数の高い成分の音圧レベルの寄与が支配的であったが、「頭部の振動感覚」閾値の場合には、2つの成分がともに寄与していることを示唆する結果が得られた。これは、測定周波数範囲において、聴覚と「頭部の振動感覚」の知覚特性が異なることを示す結果と考えられた。 平成24年度後半は、閾値測定に使用したのと同じ12種類の複合低周波音をテスト音として、「頭部の振動感覚」の等感度レベルを測定した。その際、50 Hz、85 dB(Z)の純音を基準音とし、それによって知覚される「頭部の振動感覚」を基準感覚として利用した。閾値の場合と同じく、等感度レベルは被験者調整法で決定した。その結果、「頭部の振動感覚」の等感度レベルには、閾値の場合と同様に、テスト音中の2つの成分がともに寄与していることが示唆された。閾値よりやや高い音圧レベルにおける「頭部の振動感覚」の知覚特性が、閾値の場合と同様であることを示す結果と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度(平成23年度)に強いられた夏季節電の影響が、まだ若干残っている。
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今後の研究の推進方策 |
当面は、平成24年度に実施した「頭部の振動感覚」の等感度レベルの測定を継続する。閾値の測定データと合わせて、研究の中核となるデータ取得に問題は無い。ただし、平成25年1月から研究代表者が所属機関内の研究管理部門との併任になったため、現状では、研究業務に使える時間が少なくなっている。そのため、平成25年度後半の実施を想定していた補足的実験(具体的内容は未定)については、実施できない可能性がある。
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