研究課題/領域番号 |
23330225
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
岡本 正子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (50379319)
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研究分担者 |
二井 仁美 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50221974)
島 善信 大阪教育大学, 学内共同利用施設等, 教授 (80457027)
西牧 謙吾 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 企画部, 上席総括研究員 (50371711)
鈴木 真由子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (60241197)
上田 裕美 大阪教育大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80302636)
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キーワード | 子ども虐待防止 / 教員養成 / 大学 / カリキュラム / 実践力 |
研究概要 |
1、24年度に実施する「学校や教員に対するニーズ調査」の予備調査として聞き取り調査。教員やSCからは、発見・通告に際して子どもの変化に気づくことや教員間のチームワークの重要性、また保護者への対応や危機管理・機関連携のあり方が課題であること、さらに業務の多忙さなどが指摘された。また児童福祉・母子保健領域の専門家からは(1)発見・対応・ケアに関する課題として「虐待を受けた子どもの理解と対応スキル」「虐待問題をソーシャルワーク的視点でみる力」「教育と福祉の連携」「教員の自己覚知」等が指摘され、(2)予防教育の視点としては「加害者にならない教育」「被害を回避する教育」の2軸を踏まえた概念整理の必要性が共有された。2、Web上に公開されているシラバスから「教員養成における子ども虐待」の授業開講状況の調査。(1)授業は教育学部を有する半数以上の国立大学において開講されている、(2)当該授業は養護教諭免許状、特別支援学校の免許状取得のための必要授業のほかに幼稚園・小学校・中学校・高等学校の普通免許状取得に際して必修科目中、教育職員免許法施行規則第6条第4欄「生徒指導、教育相談及び進路指導等に関する科目の理論及び方法」に位置付く授業が多い、(3)他に第6条第2欄「教職の意義等に関する科目」、第3欄「教育の基礎理論に関する科目」において開講されている事例が存在する、(4)但しこれらの授業は概ね授業者に依存する形で開講されでいる事が確認された。3、スウエーデン・フィンランド・オーストリアへの現地調査と来日中のDR F.Putnamへの聞き取り調査。(1)スウエーデン調査から児童虐待は子どもの人権侵害で、親が子どもを叩くことを禁ずる法律があり身体的虐待が少ないこと、また教師への発見・対応の研修や学校における生徒へのハビリテーションなどの多くの取り組みがありそのことで虐待防止ができると考えていること等が確認された。(2)オーストラリア調査から児童虐待は「Gewalt an Kindern」という語で把握され学校でも家庭でも起こる問題として認識されていること、学校で導入される暴力防止教育の中心はいじめに関することが多いこと、学校における暴力防止や虐待予防教育は子どもの権利に関する教育が重視され子どもの教科書にも論及されていることが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた調査のうち、(1)聞き取り調査においては24年度の質問紙調査にむけて調査表を策定するにたる結果を得ることができた。また(2)授業開講状況調査からは、現時点における日本の大学での教員養成における子ども虐待問題の開講状況を把握できた。(3)海外調査に関しては、予定の3力国(スウエーデン・フインランド・オーストリア)について文献調査や現地調査による予備調査を行い、一定の内容を確認でき、また新たな知見も得られた。しかし、オーストリアにおいては児童虐待問題の捉え方やこの問題への学校や教員の位置づけが日本とは異なっており、さらに児童福祉局への調査を行なう中で全体像を整理する必要があること、また3力国における教員養成のあり方に関してはほとんど調査できていないことなどから次年度の調査が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は、学校や教員に対して質問紙調査を実施し、その結果と海外調査を踏まえてシラバスを策定する予定である。研究の内容を深めスムーズに遂行するために、新たに連携研究者を追加する。また海外調査に関しては、24年度調査として、イギリスへの調査とスウェーデン・オーストリアへの本格調査を予定していたが、加えてオーストラリアの調査の必要性が浮上してきた。対応としては、調査時期や調査者人数を工夫することで、オーストラリア調査を追加する計画である。
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