研究課題/領域番号 |
23330229
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研究機関 | 埼玉工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 由美 埼玉工業大学, 人間社会学部, 教授 (10399123)
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研究分担者 |
玄 善允 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80388636)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 台湾 / 朝鮮 / 学校教育 / 社会教育 / 児童文化 / 植民地教育 |
研究概要 |
平成24年度の研究計画は、①初年度の資料調査や聞き取り調査を継続して行うこと。②前半期の合宿研究会では、学校教育及び社会教育を担当するメンバーによる研究発表を行うこと。③後半期の合宿研究会では、周辺文化を担当するメンバーによる研究発表を行うとともに、近接領域の研究者(海外を含む)を招いて勉強会を行うこと。④聞き取り調査のテープ起こしや記録の作成作業を行うこと。の4点にあった。 ①については、メンバー11名のうち10名が台湾、大韓民国、国内に資料調査及び聞き取り調査に複数回出かけている。主な資料調査先は台湾の中央図書館台湾分館、大韓民国の国会図書館、国立中央図書館等である。聞き取り調査については、大韓民国で夜学経験者、元教員、高齢女性にそれぞれの学校や労働、遊びの経験を聞くインタビューをメンバーが行った。台湾では高齢者が集う機関を訪ね、約30名の高齢者に少年少女時代の経験を語ってもらう機会をもった。同時に個別のインタビューも行っている。また、国語保育所の教員経験のある日本人や少年時代を朝鮮で過ごした日本人へのインタビューも行った。12月にはメンバーのうち4名が台湾に出かけ、近接領域の研究者を訪問し交流の機会をもった。 ②については、メンバー各自が進捗状況報告を行うとともに、学校教育、社会教育を担当するメンバーの報告に多くの時間を割き、意見交換を行った。近接領域の研究者(台湾をフィルドにし、資料調査、聞き取り調査を精力的に行っている教育史研究者)をこの時に招き、お話を伺うと同時に資料の提供を受けた。 ③については、メンバー各自が進捗状況報告を行うとともに、周辺文化を担当するメンバーの報告に多くの時間を割き、意見交換を行った。最終年度の研究計画や報告書の作成についての話し合った。 ④については、各自がインタビュー記録を作成している。テープ起こし(日本人への聞き取り・朝鮮)も1本ある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究実績の概要で研究計画に照らし合わせた実績を述べたとおり、自己点検の結果、研究計画はおおむね順調に進展していると判断している。 その理由として、まず年に2回の合宿研究会にメンバー全員が集まり情報交換を行っていることが挙げられる。メンバーの専門領域が多岐に亘っているため、資料調査のうえでも、聞き取り調査のうえでも新たな情報、視点に出会うことができ、それぞれの研究を進めるうえで役立っている。 また、関係領域の研究者と交流することで貴重な知見を得ることができた点も大きい。例えば、夏の合宿研究会では台湾で数多くのインタビューを行っている研究者を招いたことで、インタビューの手法についても学ぶことができた。12月にはメンバーの一部が訪台したが、児童文学の専門家からはインタビューの対象者や紙芝居の研究者の紹介を受け、その後の研究交流が活発になった。(当初は1月の研究会でも児童文化に関する研究者も招く予定であったが日程調整ができず断念した。) さらに、メンバーの一人が関係領域の研究会情報をメンバー全員に流している。関係資料やテレビ番組の紹介なども発信されるため大変役立っている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の研究の推進方策は以下のように計画している。 まず、8月末を目処に資料調査や聞き取り調査の補填作業を各自が行い、年度の後半は報告書の作成に向け論文の執筆作業に入る。 次に、11月9日にワークショップを開催する。このワークショップにはメンバー全員が報告者(3名)、コメンテーター(6名)、司会進行(2名)として参加するほか、メンバー以外の報告者を招聘する予定である。これまでの研究会では伝統教育に関する報告がなかったので、その領域を考えている。 さらに、1月にメンバーによる合宿研究会を行い、報告書に掲載予定の論文を持ち寄り、3年間のまとめとなる研究報告を各自が行う。 最後に、年度末に報告書を作成し、関係機関への配布を行う。報告書にはそれぞれの研究論文のほか、インタビュー記録を掲載する予定である。必要に応じて報告書編集のための実務的な協議を編集担当者が行うことも計画している。
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