研究課題/領域番号 |
23330237
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 雅之 東京大学, 大学総合教育研究センター, 教授 (90162023)
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キーワード | 教育学 / 社会学 / 高等教育 / 学生支援 / 教育政策 |
研究概要 |
本研究は、大学教育に対する費用負担と学生支援の現状を明らかにすることを目的として、海外調査と国内実証研究の2つの柱からなる。海外調査については、これまでの調査結果と新たに収集した資料をもとに、アメリカ、イギリス、オーストラリア、スウェーデン、ドイツ、韓国、中国の7カ力国に日本を加えた「教育機会均等への挑戦-授業料・奨学金の8カ国比較」を近く、東信堂より刊行する。さらに、この成果をもとに、イギリス、中国、オーストラリアについて、東京大学大学総合教育研究センターのワークショップとして、成果を公開している。諸外国に比較して我が国の家計の教育費負担の重さと学生への経済的支援の少なさが明らかにされた。 実証研究については、「東京大学の学生の時系列分析」を2011年5月の日本高等教育学会で報告し、それを含む3つの東大生調査の分析を行った「学生から見た東京大学-3つの東大生調査から-」を東京大学・大学総合教育研究センターより刊行した。これらから、家計の教育費負担が年々増加していること、学費の中で授業料負担が増加しており、修学費などが減少していることが明らかにされた。 さらに、全国大学生協連合会の「学生生活実態調査」と「新入生の保護者の教育費負担調査」について、1991年からの調査の時系列分析を実施することになり、準備を進めている段階である。また、リクルート「カレッジ・マネジメント」誌の協力を得て、「全国大学授業料・奨学金調査」を実施する準備を進めている。さらに、日本学生支援機構「学生生活調査」については、平成20年度と22年度調査の個票を分析する準備を進めている。また、東京大学の卒業生を対象とした「卒業生調査」についても、来年度実施に向けて、準備を進めている。これには、さらに他の大学卒業生も対象に加えるか検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外調査、実証研究とも概ね順調に進展しているが、研究計画のうち、大学院生に対する調査については、まだ、計画段階で実施は来年度以降になる予定である。さらに、教育費負担の推計についても、調査結果を待って来年度以降実施する予定である。このため、ほぼ計画通り進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
海外調査、実証研究とも順調に進行しているが、上記のように、大学院生に対する調査については、まだ計画段階で実施は来年度以降になる予定である。当初の研究計画での予算に比べ、交付金額が削減されているため、高校生・保護者・大学院生調査については、実施の規模や方法を再検討し、予算内で執行する必要がある。既に多くの既存の調査の個票を入手しているため、この分析を中心に進める予定である。
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