研究課題/領域番号 |
23330237
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 雅之 東京大学, 大学総合教育研究センター, 教授 (90162023)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 奨学金 / 学資ローン / 授業料減免 / ローン負担 / ローン回避 / 授業料 / 高等教育政策 / 教育費 |
研究概要 |
本研究は、海外調査と国内実証研究の2つの柱からなる。海外調査については、中国とアメリカに現地調査を行い、これまでの調査結果と新たに収集した資料をもとに、アメリカ、イギリス、オーストラリア、スウェーデン、ドイツ、韓国、中国の7カ国に日本を加えた「教育機会均等への挑戦 ―授業料・奨学金の8カ国比較」を、東信堂より2012年10月に刊行した。また、東京大学・大学総合教育研究センターより「オバマ政権の学生支援改革」として報告書を刊行した。さらに、「日英高等教育改革の動向」シンポジウムを4月に開催し、6月に大学総合教育研究センターワーキングペーパーとして刊行した。これらの一連の調査とシンポジウム等により諸外国に比較して我が国の家計の教育費負担の重さと学生への経済的支援の少なさが明らかにされた。この成果の一部をAccess and Cost-Sharing in Japanese Higher Educationとして同年11月の北京フォーラムで報告するとともに、ワーキングペーパーとして刊行した。 実証研究については、「高校卒業生の保護者調査」を2012年10月に実施し、1,064名から回答を得た。この結果、私立大学だけでなく国公立大学についても、所得階層による格差が拡大していることが明らかにされた。 さらに、全国大学生協連合会の「学生生活実態調査」について、1991年からの調査の時系列分析を実施し、同主催のシンポジウム「バブル崩壊後の学生の変容と現代学生像」(2012年11月)において、分析結果の一部を報告し、同名で報告書が刊行された。また、「カレッジマネジメント」誌の協力を得て、「全国大学授業料・奨学金調査」を2012年6月に実施し、結果の一部を同誌12月号に掲載した。さらに、日本学生支援機構「学生生活調査」については、平成20年度と22年度調査の個票の分析を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、海外調査とアンケート調査の実施によるシンポジウムや報告書の刊行は、平成25年度以降の予定であったが、機会に恵まれ、シンポジウムを実施するとともに、調査結果を書籍、大学総合教育研究センター報告書などとして、刊行することができ、当初計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度はアメリカと中国の海外調査を実施するとともに、3つの大規模なアンケート調査を実施分析した。しかし、いずれもさらに分析を進める必要がある。また、海外調査については、中国あるいは機会があれば他の諸国についても実施を検討したいと考える。
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