研究課題/領域番号 |
23330241
|
研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
紅林 伸幸 滋賀大学, 教育学部, 教授 (40262068)
|
研究分担者 |
加藤 隆雄 南山大学, 人文学部, 教授 (20247133)
川村 光 関西国際大学, 教育学部, 准教授 (50452230)
藤田 武志 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (70324019)
油布 佐和子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80183987)
越智 康詞 信州大学, 教育学部, 教授 (80242105)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 教員養成 / 教職の政治性 / 市民社会と教育 / 教師文化 / 教員調査 / カナダの市民性教育 / 教職課程 / 学生調査 |
研究概要 |
平成25年度は、1.教職志望学生の政治性に関わる調査(第2回及び第3回調査)の実施、2.教員を対象とした質問紙調査({教師の教育への意識に関する調査})の実施、3.教育の政治性と教職の政治性に関わる文献研究、4.市民社会への移行期にある市民社会先進国の教育に関する視察調査(第3回)の4つの研究作業を行い、併せて平成23年度及び平成24年度に実施した調査研究の一部の成果について報告を行った。1では、6大学の教職志望の2・3年生を対象として継続調査を実施した(回収数1048サンプル)。2では、平成25年度中に完成させた質問紙を用いて、全国14都道府県の公立小・中学校教員を対象とした質問紙調査を実施した(回収数1527サンプル)。1および2の調査データの分析は平成26年度中に実施する予定である。3では、テイラー、アレントらの近代社会に対する視角の検討を行った。本文献研究の成果については、平成26年9月に松山大学において実施される日本教育社会学会大会においてテーマ部会「市民社会感覚の空洞化とシティズンシップ教育」(提案者 加藤隆雄)を企画し、報告を行う予定である。4では、多民族主義・多文化主義の市民社会を実現しているカナダの視察調査を行い、カナダの教育関連機関では、民意に応える教育の実現が盛んに強調され、また併せてメディア・リテラシー教育の必要に関心が向けられている実態などの興味深い情報を得た。市民社会とメディアリテラシー教育の関係ならびにそうしたことに対する教員の認識については、今後の研究の展開に大きな示唆となるものであった。以上の研究の実施と並行して、平成23年度に実施したイタリア視察調査の成果を学部紀要において報告し、平成24年度実施の学生調査の分析結果を日本教師教育学会23回大会で発表するとともに、滋賀大学教育学部紀要にて論文としての報告を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に合った4つの研究はおおむね達成できた。特に、平成24年度に実施を計画していたが、いじめや体罰問題で揺れた学校現場に配慮して実施を延期した教員調査を無事に実施することができ、1500を超える現職教員に協力を得られたことは大きな収穫であった。また、市民社会への変革期にある市民社会先進国での教師文化の視察研究については、平成23年度の地域の分権性の強いイタリア、平成24年度の政治体制の変革を経験したルーマニア、ハンガリーに続いて、多民族主義・多文化主義の市民社会を実現しているカナダ・オンタリオ州の視察を行い、民意に応える教育とメディアリテラシー教育に関わる情報を得ることができ、今後の研究の展開に大きな示唆を得た。また、研究を開始して3年目となったため、ここまでの中間報告的な成果報告を行った。いずれの研究も継続中のものであるため、並行して実施している研究の成果を総合的にとらえたものではなく、個別の成果報告にとどまっているが、独立した成果報告として十分に意味のある報告となった。本年度実施した調査の結果についても、順次報告を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度実施を予定していた研究を順調に進めることができたことで、今後の計画に大幅な変更の必要はない。ただし、昨年の時点で報告したように、当初計画では平成26年度に海外視察調査は行わない予定であったが、地方の分権性の強いイタリア、政治体制の変化を伴ったルーマニア、ハンガリー、多民族主義・多文化主義のカナダと実施してきた、特徴ある文脈を持つ市民社会の視察調査を継続する必要から、宗教的な特色を持つトルコ(脱イスラム化)の視察調査を計画に加える。その他には変更の予定はない。 したがって、平成26年度は、1.教師職志望の3年生を対象とした質問紙調査の実施(第3回及び第4回調査)、2.教員ヒアリング・大学ヒアリングの実施、3.海外の教員養成の視察、4.勉強会(文献研究を兼ねる)の継続実施と、併せてこれまでの研究成果の整理と報告を順次行う予定である。
|