研究課題/領域番号 |
23330243
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
藤墳 智一 宮崎大学, 教育・学生支援センター, 准教授 (30248637)
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研究分担者 |
阿曽沼 明裕 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80261759)
小方 直幸 東京大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20314776)
西本 裕輝 琉球大学, 大学教育センター, 准教授 (20301393)
村澤 昌崇 広島大学, 高等教育研究開発センター, 准教授 (00284224)
米澤 彰純 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (70251428)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高等教育 |
研究概要 |
本研究の目的は、学士課程教育における機関レベルの組織特性とシステムレベルの機能別分化とを突き合わせ、両者の間の矛盾と一致を確認することにある。そのために、まず、我が国の大学で潜在的に進行している機能別分化の実態を把握し、分化したサブグループの規模の妥当性を検討する。研究計画は(1)仮説のための理論研究、(2)機能別分化に関する実証研究、(3)次世代リーダー育成のための組織戦略に関するケーススタディの3つのプロセスを含んでいる。 理論研究では、高等教育レベルにおける革新的教育に関する文献調査を行った。また、実証研究に向けて、革新的教育を可能にする組織マネジメントについて考察した。現在、教育改革の新しい方向性に関する議論を、理工系分野を事例に、産業からの要望と大学の対応という観点からまとめている。 実証研究では、高い学習動機を持ち主体的に行動できることが次世代リーダーに強く求められているという前提に立ち、日本の国立大学工学部の教員を学生の主体性育成という観点から4つのグループに分類した。その結果、主体性の育成に熱心な教員グループの規模は、大規模校で5.5%、中規模校で7.7%、小規模校で20.7%であった。つまり、次世代リーダーの育成に熱心な教員は機関の規模が大きくなると比率が減少する一方で、どの機関にも少数分布しており、この結果は、これまで政策提言で行われてきた大学院の規模に基づくシステムレベルの機能別分化と必ずしも一致しない。 ケーススタディのためのデータ収集は、日本の国立大学工学部およびアメリカのリベラルアーツカレッジ、工科単科大学を対象に行った。分析からそれぞれの機関が取り組む革新的教育には、プロジェクト型教育、産学連携教育、ティームティーチングによる学際的教育という共通の傾向が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)理論研究、(2)機能別分化に関する実証研究、(3)次世代リーダー育成のための組織戦略に関するケーススタディの3つの領域において、それぞれ調査が進み、一定の成果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、在学生、卒業生からデータを得、革新的教育の学習効果と高い学習効果をもたらす組織的要因を機能と規模の観点から分析する。また、これまで進めてきた、理論研究、政府のガバナンスに関するマクロレベルの実証研究、そして革新的教育の実践とその戦略に関するミクロレベルの実証研究を統合し、本研究を通して得られた知見を報告書にまとめる予定である。
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