研究課題/領域番号 |
23330251
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
清水 美憲 筑波大学, 人間系, 教授 (90226259)
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研究分担者 |
宮崎 樹夫 信州大学, 教育学部, 教授 (10261760)
清水 静海 帝京大学, 教育学部, 教授 (20115661)
太田 伸也 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50322920)
大谷 実 金沢大学, 学校教育系, 教授 (50241758)
岩田 耕司 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (90437541)
蒔苗 直道 筑波大学, 人間系, 准教授 (40345939)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 学力 / 数学 / 学力調査 / 数学的リテラシー / OECD/PISA / TIMSS |
研究概要 |
本研究は,我が国でこれまでに実施されてきた算数・数学の大規模学力調査の設計と分析の手法,及び得られた知見等について,数学教育研究者,教育政策担当者,そして学校現場の教員による研究グループを組織して数学教育研究の立場から総合的に考察し,数学教育における学力論の再構築を図り,重層的かつ多面的な学力調査の新たな枠組みと手法を提示するとともに,学力調査の結果を活かした指導改善のあり方を提言することを目的とする。 この目的のために,研究計画の第2年次の本年度は,以下のように研究を展開した。 1 我が国の算数・数学学力調査の総合的考察:戦後の算数・数学学力調査の実施の経過と成果を把握し,各種学力調査の実施の意義と限界,及び児童・生徒の学習状況について得られた知見を分類整理して総合的に検討し,数学教育の現状と課題を踏まえた算数・数学調査の枠組みを提案する準備作業を行った。またそのために,過去の調査問題,調査結果を統合したデータベースを構築した。 2 新しい調査手法と評価システムの考案:「関心・意欲・態度」と教科内容の関連を視野に入れた新しい調査方法や,記述式問題の出題形式の整理と評価システムの考案を引き続き行った。具体的には教育課程実施状況調査で試みられた「関心・意欲・態度」の評価について,教科内容に関連させてペーパーテストに組み込むことを視野に入れた手法を検討した。 3 調査問題を利用した学習指導モデルの開発:全国学力・学習状況調査で出題された「活用」の問題とその調査結果を生かした指導実践の可能性を探るための学習指導モデルを開発し,試行授業を実施し,生徒の活動を分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
戦後の算数・数学学力調査の実施の経過と成果を把握し,各種学力調査の実施の意義と限界,および児童・生徒の学習状況について得られた知見を分類整理して総合的に検討し,過去の調査資料の電子化によるデータベースの構築を行った。また,新しい調査手法と評価システムの考案,及び調査問題を利用した学習指導モデルの開発についても試行を行い,一定の成果が得られた。 また,以上の結果について,日本数学教育学会誌で「学力調査」に関する特集を編集し,調査の枠組みの考察,今後の新しい評価手法の展望,調査における「活用」の問題を用いた学習指導に関する論文を掲載した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,以下の点に焦点化して研究を推進する。 第一は,我が国の算数・数学学力調査の総合的考察の継続である。特に,戦後の算数・数学学力調査の実施の経過と成果を把握し,各種学力調査の実施の意義と限界,および児童・生徒の学習状況について得られた知見を分類整理して総合的に検討し,結果のデーターベース化を図る。 第二は,新しい調査手法と評価システムの考案である。「関心・意欲・態度」と教科内容の関連を視野に入れた新しい調査方法や,記述式問題の出題形式の整理と評価システムの考案を引き続き行う。また,過去の記述式問題の出題形式を整理し,言語による説明を中心とした評価の体系化を図る。 第三は,調査問題を利用した学習指導モデルの開発である。全国学力・学習状況調査で出題された「活用」の問題とその調査結果を生かした指導実践の可能性を探り,学習指導モデルを開発する。 第四は,諸外国の情報の収集と考察である。国家レベルの統一カリキュラムが導入されたアメリカやオーストラリア,そしてヨーロッパを中心とする海外の数学学力調査の枠組みと実施状況,そのカリキュラムへの影響等についての資料収集を引き続き行う。
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