研究課題/領域番号 |
23330256
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
齊藤 忠彦 信州大学, 教育学部, 准教授 (10313818)
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研究分担者 |
小野 貴史 信州大学, 教育学部, 准教授 (10362089)
木下 博 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60161535)
中山 裕一郎 信州大学, 教育学部, 教授 (80155895)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 教科教育 / 音楽科 / 脳科学 |
研究概要 |
本研究では,経験的に語られることが多かった音楽教育のあり方について,脳科学からの検証を試みている。刺激に対する脳の賦活部位を機能画像として描写することができるfMRI(functional Magnetic Resonance Imaging)を用いての実験を行った。実験を行うにあたっては倫理審査を受け,被験者一人一人からインフォームド・コンセントを得た。専門機関の協力を得て実験を行った。 歌唱活動における伴奏の違いに関わる実験では,小学校の共通教材「夕焼け小焼け」を歌う場面で,「ピアノ伴奏のみ」で歌うとき,「ピアノ伴奏+一人の歌声」に合わせて歌うとき,「ピアノ伴奏+複数の歌声」に合わせて歌うときでは,脳機能局在にどのような違いがあるのかについて検証を行った。ブロック型の課題提示プログラムを組んだ。伴奏を聴きながら歌うという活動に対して,これらの音源を聴くのみというタスクも設定し,解析場面で差分データを用いた。脳機能画像解析の場面ではSPMを使用した。今回は被験者の人数が限られていたため,集団分析を行うことができなかったが,個人解析の結果,いずれの被験者も「ピアノ伴奏+複数の歌声」に合わせて歌うときには,上側頭回の聴覚皮質(41野,42野)を含めて脳内の賦活部位が広がるという傾向がみられた。質問紙調査の結果も「ピアノ伴奏+複数の歌声」にあわせて歌うことが心地よいと感じたという被験者が多かった。たとえば,新しい曲を練習する場面で,音楽教師一人の範唱で練習を進めていくことが多いが,教師一人の歌声よりも複数の人の歌声の方が,子どもたちが歌いやすいという可能性もある。機能局在の詳細については,現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は主としてNIRSを用いた実験,平成24年度は主としてfMRIを用いた実験を行うことができた。いずれも高額な装置であるため,長期的な使用はできず限られた実験内容となっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は本研究のまとめの年度となるため,NIRSおよびfMRIを併用した実験を行いたいと考えている。当初予定していた子どもたちを被験者とすることについては,学校長の同意を得られなかったため,大学生を被験者として実験を行う予定である。
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