研究分担者 |
土井 真一 京都大学, 国際公共政策研究科, 教授 (70243003)
須本 良夫 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (30547691)
草原 和博 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (40294269)
橋本 康弘 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (70346295)
伊藤 直之 鳴門教育大学, 大学院・学校教育研究科, 准教授 (20390453)
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研究概要 |
1研究のフレームワークの構築 本研究は,各学校段階に応じた知識・技能の「活用」力の育成方略及びその系統的・段階的育成の在り方を究明することを主要な研究目的としている。そこで,社会系教科でどのような知識をどのように活用して児童生徒の社会認識を深めていくのかという点について,先行研究の整理,科学哲学の知識論,心理学の知見などを参考にして検討を行った。その結果,社会系教科では「価値的知識」,「概念的知識」,「事実的知識」,「方略的知識」の4種類の知識を扱ってきたと整理できた。また,この4種類のうち「価値的知識」の活用については,これまで社会系教科で十分な検討がなされてこなかったことを明らかにした。以上の検討結果を踏まえ,次の研究段階として,日・米・英の授業レベルでの比較調査を行う際の授業モデルとするために,まず「価値的知識」を活用して社会の在り方や社会的な判断を行う社会系教科の指導計画を作成した。今後,「価値的知識」以外の知識や技能について検討する予定である。 2海外調査 米・英の仕会系教科の内容や今後のカリキュラムの改訂動向を明らかにするため研究者のインタビューを実施するとともに,学会に参加し社会系教科の授業実態や研究動向を把握した。さらに,教科書,教材,発表資料の収集を行った。その結果,特にイギリスでは,地理や歴史を重視する傾向及び基本的な知識を学ばせる主張があることなどが分かった。また,地理においては,「手続き的知識」が取り上げられ,上記の「方略的知識」と同様な性質の知識が注目されていることが分かった。今後,引き続き収集した教科書,教材の分析を行い,授業レベルでの日・米・英の比較を効果的に行うことができるように準備を進めろ予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献研究により,活用すべき知識を価値的知識,概念的知識,事実的知識,方略的知識の4種類に整理し,研究の基本的なフレームワークを構築するとともに,海外調査ではイギリスのナショナルカリキュラムの改訂動向をさぐり社会系教科のこれからのカリキュラムの方向性や,アメリカの社会系教科の動向を整理し,日・米・英の比較の準備ができているため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はアメリカの社会系教科の授業を中心に知識・技能の活用について分析を行うとともに,日本における知識・技能の活用について指導計画の収集と授業参観やインタビューなどを行い,日・米の比較の具体的な視点を整理する。また,引き続きアメリカ及びイギリスの学術誌,理論書,教科書,教材を収集し分析を行う。それと並行しながら,科学哲学の知識論に関する知見などを手がかりに,知識のとらえ方を再検討し,知識・技能の活用についての研究フレームワークを完成させる。
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