研究課題/領域番号 |
23330274
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
上原 景子 群馬大学, 教育学部, 教授 (40323323)
|
研究分担者 |
中野 聡子 広島大学, アクセシビリティセンター, 特任講師 (20359665)
金澤 貴之 群馬大学, 教育学部, 教授 (50323324)
HOOGENBOOM RAY 群馬大学, 大学教育・学生支援機構, 准教授 (80436295)
|
研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2016-03-31
|
キーワード | 聴覚障害児支援 / 聴覚学生支援 / 英語教育 / 英語活動 / 字幕呈示 / 情報保障 / 音声認識 / 英語字幕 |
研究概要 |
本研究の目的は,聴覚障害をもつ小中学生の英語学習支援の手段として,「教育現場で活用できる効果的な英語の字幕呈示方法」を開発することである。小学校高学年で必修の外国語活動(以下,英語活動)は,音声を主体とした英語への慣れ親しみを主な目的としており,これを踏まえて中学校以降の英語教育が行われている。英語教育は英語におけるコミュニケーション能力の育成を目指し,授業で英語が多用されている。こうした状況下では,資料を増やすなどの従来の支援方法は十分ではなく,小中学校で活用できる英語の音声を文字化した情報保障による支援方法の開発が急がれる。 平成25年度は、研究組織全体で研究計画,分担,調査・実験項目等を確認した後,以下を行った。(1)小学校英語活動(5・6年生)および中学校英語(1~3年生)の授業実践の観察・基礎調査とその分析,(2)これまでの研究成果が示す健聴者と対比した「聴覚障害者の日本語の読みの特性」のまとめ,(3)これまでの研究成果が示す健聴者と対比した「聴覚障害者の英語の読みの特性」のまとめ,(4)先の(2)および(3)の対応による「日本人英語学習者の英語の読みの特性」の基礎データ収集項目の確認,(5)眼球運動測定装置を用いた「日本人英語学習者の英語の読みの特性」の基礎データ収集と分析,(6)眼球運動測定装置を用いた「英語母語話者の英語の読みの特性」の基礎データ収集と分析,(7)先の(5)と(6)の対比,(8)眼球運動測定装置を用いた「日本人の日本語の読みの特性」の基礎データ収集と分析((5)の英文に対応する日本文を使用) 上記の(1)では,聴覚障害児の英語学習で困難さが生じると考えられる項目の分析と整理の続きを行った。(2)(3)(4)に基づき平成24年度から行っている(5)に加え,(6)は日本人英語学習者の英語の読みの特性を捉える手段として,(7)と(8)を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度も当初の計画通り,研究計画・分担・協力体制の確認の3点から研究体制の整備を行うことができた。また,「英語の読み方」の検証の実施項目・方法と「英語の学習状況・習熟度」の把握方法・手順を確認しながら,研究を推進することができた。これまでの研究成果に基づき,聴覚障害者の日本語と英語の読みのそれぞれ特性を健聴者と対比してまとめ,実験・調査の焦点を絞り,基礎データの収集を続けることができた。基礎データの収集では,眼球運動測定装置を用い,日本人学習者の英語の読みと,それに対応する日本人学習者の日本語の読み,および英語母語話者の英語の読みに関するデータを収集することができた。 特に,眼球運動の実験から,英語と日本語の読みでは二言語間の統語的な相違点が大きな影響を及ぼす可能性があることと,英語の読みにおいては,知らない語彙がある際の戻り読みや推測の手がかりの模索状況は,英語の能力によって差異があることが判明したことは意義あることと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,これまで3年間の研究成果を踏まえ,小中学校における英語の学習状況や習熟度,聴覚障害児の支援状況の実際に関する情報収集とその分析の続きを行う。また,これまでの収集した眼球運動のデータを基に,語彙情報へのアクセス,読解時のチャンキング,読み易い改行に関する実験・調査の続きを行う。 その際,平成25年度の実験結果から,「英語と日本語の読みでは二言語間の統語的な相違点が大きな影響を及ぼす可能性があること」と「英語の読みにおいては,知らない語彙がある際の戻り読みや推測の手がかりの模索状況は,英語の能力によって差異があること」が判明したことを受け,日本語と英語の統語的な相違点と学習者が知らない語彙に着目して,文情報処理の観点からの検証を行う。
|