研究概要 |
ガウスの超幾何函数_2F_1,一般化超幾何函数_nF_{n-1},Appellの超幾何函数F_1, F_2, F_3, F_4, Lauricellaの超幾何函数F_D, F_A, F_B, F_Cなどの古典的超幾何函数の積分表示解,付随するモノドロミー群の研究を行った._2F_1,F_1,F_Dについての論文が出版されたが,Wronskianに関する議論は,その後,さらに精密なものを発見した.今後,しかるべき形で出版する予定である.また,F_2, F_3に付随するモノドロミー群の計算の本質的な部分は,昨年度,既に得られていたが,既約であることの十分条件を精密に主張するためは,Wronskianの計算などが不足していた.これに対して,今年度は,必要な形のWronskian公式を導出することができた.これによって,ようやく論文の形にまとめる段階に入り,いまは,ほぼ完成の段階である._nF_{n-1}についても,ほぼ同様の進捗状況であり,論文の形としてもほぼ完成に近い段階に達している.FDが可約であるとき,有限群になる場合の分類も,ほぼできた.しかし,これに関しては,全く論文の形にしていない.早々に,論文としてまとめたい.さらに,既約性条件の必要性をどのように導くかという問題はしばらくの懸案事項であったが,隣接関係式をもちいることでそれが解決できることを発見した.Gelfandの_3E_6が既約であることの必要十分条件を決定することができたが,可約な場合の中の代表的な場合の分析を佐々木武(神戸大)と吉田正章(九州大)との共同研究で行った.部分加群がどのようなからくりで得られるかということなどがわかりつつあるが 未完成であり,今後も,継続する予定である.AppellのF_4超幾何函数のモノドロミーを具体的に構成することに成功した.Wronskian公式はまだであるが.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ガウスの超幾何函数_2F_1,一般化超幾何函数_nF_{n-1},Appellの超幾何函数F_1, F_2, F_3, F_4, Lauricellaの超幾何函数F_Dなどの古典的超幾何函数の積分表示解,付随するモノドロミー群の研究については,ほぼ,最終的な形が得られたと思うからである. また,AppellのF_4超幾何函数の積分表示式は,いままで代表者が扱ったものの中で例外的に2次の多項式を被積分函数の因子として含むものであり,Wronskian公式はまだとはいえ,F_4に付随するモノドロミーを具体的に構成することに成功したということにより,積分表示の研究は新たな段階に突入したと言える.
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