研究概要 |
研究開始初年度であり、現在はまだ研究が基礎的な段階にとどまっている。今年度はKLR代数の表現論に関する種々の結果を改めて整理するとともに種々の研究集会に参加し知識提供を受けたが、とくに中国科学院数学研究所のMing Fang氏に知識提供を受けたrelative tilting theoryの理論は有用で、階数2の場合に計算したB型ヘッケ代数の準遺伝的被覆に当該理論を適用した場合の具体的考察が今後の一般化のために重要である。現在はこの方向で考察を続けている段階である。また、次数付ヘッケ代数の表現論の専門家であるSydney大学のAndrew Mathas教授を2週間招き集中的に討論を行った結果、今後2年間の方向性についていくつかの具体的な方針が得られた。 研究実施計画に従って、大阪市立大学の谷崎俊之教授、兼田正治教授と協力して大阪表現論セミナーを開催した。講演者は次の通りである。 4月19日加瀬遼一(大阪大)、5月16日伊山修(名古屋大)、 6月20日阿部紀行(北海道大・創成研究機構)、7月11日中島啓(京都大・数理研)、 10月24日Fang,Ming(中国科学院/大阪大)、11月21日Park,Euiyong(大阪大)、 1月16日Mathas,Andrew(Sydney大) 研究実施計画に従って、代表世話人として、京都大学菊地克彦氏とともに2011年度表現論シンポジウムを2011年11月7日(月)~10日(木)の日程で開催し、講演集を発行した。 次数付ヘッケ代数の準遺伝的被覆の理論の構築に深く関係するのが高階Fock空間の標準基底・結晶に底であり、とくに結晶基底はヘッケ代数のモジュラー分岐則と深く関係しているが、これに関連した研究に基づき、Nicolas Jacon、Cedric Lecouvey 2名との共著論文2編を出版した。
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