研究課題/領域番号 |
23340008
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
臼井 三平 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90117002)
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研究分担者 |
中山 能力 一橋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (70272664)
池田 京司 東京電機大学, 工学部, 准教授 (40397617)
今野 一宏 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10186869)
足利 正 東北学院大学, 工学部, 教授 (90125203)
藤木 明 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (80027383)
小木曽 啓示 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40224133)
高橋 篤史 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50314290)
大野 浩司 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20252570)
渡邉 健太 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (70582683)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 対数的混合ホッジ理論 / ミラー対称性 / 周期写像 / 2次元正規特異点 / 堀川指数 / 双エルミート構造 / ルート系 / 安定性 |
研究実績の概要 |
混合ホッジ構造の退化の分類空間についての加藤・中山・臼井の共同研究が続いており,次の三つの論文の完成投稿を目指して仕上げを進めている.IV部は,加藤・臼井による対数的ホッジ理論の分類空間やSL(2)軌道の空間やボレル・セール型の空間とそれらの関係を示す基本図式の混合版の構成である.これはノーマル関数の情報も含んだ周期写像のさまざまな極限の間の関係を記述している基本的な枠組とみることができる.V部は混合版SL(2)軌道の空間への周期写像の拡張の実解析性についての研究である.VI部はマンフォード・テイト領域も含む形の群作用付の混合版周期領域理論への拡張である.また,この基本的な枠組を幾何や物理へ応用することも進めている. 臼井は3次元5次超曲面に対して,AモデルとBモデルの対数的ノーマル関数の一致として開ミラー対称性の定式化をして論文にし,受理された.また基本図式の各段階での様子も探り始めている. 池田はある楕円曲面族の周期写像を計算して,モーデル・ヴェイユ群の変動の様子を明らかにした.今野は基本種数が3の小山2重点について,その基本サイクルや標準サイクルの形状を研究し,粗い構造定理を証明した.足利はアイヒラー跡公式の変形版等を用いて, モノドロミーとモジュライ写像を経由する方法での種数3の堀川指数の明示問題を研究し進展をみた.藤木は非ケーラー曲面上の双エルミート構造の存在を示し,例を調べた.高橋はカスプ多項式の半普遍変形・オービフォールド射影曲線のグロモフ・ヴィッテン不変量・カスプワイル群から得られる,3種類の平坦構造の構成について研究を深めた.また,オイラー形式の一意性の証明など,一般ルート系についての詳細な研究を開始した.渡邉は主に K3 曲面上の分解しない ACM 束のギーゼカー安定性及び,スロープ安定性に関する研究を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代表者は次の国際研究集会やセミナーで招待講演を行った. 2014年6月3日-5日, Korea Institute for Advanced Study Seminar (3 talks) , Studies of closed/open mirror symmetry for quintic threefold through log mixed Hodge theory. 2014年8月29日,北海道大学, The 2nd Franco-Japanese-Vietnamese Symposium on Singularities, A study of open mirror symmetry for quintic threefold through log mixed Hodge theory. 2014年11月20日, Algebraic Geometry Seminar, Johns Hopkins University, Studies of closed/open mirror symmetry for quintic threefold through log mixed Hodge theory . 加藤・中山・臼井の共同研究による対数的混合ホッジ構造の良モジュライとしてのネロンモデルの理論を使って,臼井は3次元5次超曲面に対して,AモデルとBモデルの対数的ノーマル関数の一致として開ミラー対称性の定式化をして論文にし,受理された.
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今後の研究の推進方策 |
加藤・中山・臼井の共同研究である三つの論文IV, V, VIを順次完成させ投稿する. 3次元5次超曲面に対する開ミラー対称性の対数的ノーマル関数による定式化とAモデルの幾何との関係を詰める.この例の閉および開ミラー対称性について,SL(2)軌道の空間やボレル・セール型の空間までいってミラー対称性をより詳しく調べる. ミラー対称性については、「ホッジ班」の臼井,中山,池田,加藤と「ミラー班」の小木曽,高橋,大野が連携して研究を進める.カラビ・ヤウ多様体は奇数重みでホッジ構造が古典的でない最初の例であるのに対し、偶数重みでそのような例は幾何種数2以上の一般型曲面である.これについても,「曲面班」の今野,足利,渡邉やツイスター空間担当の藤木らとも連携してさらに研究を進める. 以上のようなテーマのもとに,次の研究交流を予定している.2015 Summer School on Moduli Problems in Symplectic Geometry, IHES, 7月6-17日,に参加する.ホッジ理論と代数幾何学,東京電機大学,8月第一週,を共催する.Geometry of Singularities and Manifolds, Kusatsu 2015(第2回),を共催する,9月23-26日.The 3rd Franco-Japanese-Vietnamese Symposium on Singularities, ハノイ, 11月30日―12月4日,に参加する.代数幾何学ミニワークショップ,兵庫県多可町八千代プラザ,1月か2月,を主催する.Complex p-adic and logarithmic Hodge theory, Simon Center, Stony Brook, 2016年,3月6日―4月29日,に1月間招待されている.
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