研究課題/領域番号 |
23340010
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
金子 昌信 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (70202017)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | モジュラー形式 / 準モジュラー形式 / 多重ゼータ値 / 多重ベルヌーイ数 / 頂点作用素代数 |
研究実績の概要 |
多重ベルヌーイ数が負の整数点で,多重ゼータ値が正の整数点での特殊値として現れるような,いわゆる Arakawa-Kaneko ゼータ関数というものがあるが,これとある意味で表裏一体をなすような新たなゼータ関数を代表者と津村博文とで共同で研究した.ここで得られた様々な結果の意味は今後の探求をまたねばならないが, Arakawa-Kaneko の研究では予想でしかなかったようなことが次々と証明された. 結果は論文にまとめ,投稿中である.多重ゼータ値については,大学院学生 坂田実加との共同研究により,高さが1の多重ゼータ値を,高さ最大の多重ゼータ値の和で表す新しい公式を発見した.これを,Arakawa-Kaneko ゼータ関数の特異点での様子を見ることで証明している.現在論文を執筆中である.有限多重ゼータ値の Don Zagier との共著論文は完成が遅れているが,現在執筆中である. 代表者と永友清和(連携研究者),境優一との,保型微分方程式に関する研究は,有家雄介も加わり,アフィン頂点作用素代数への応用も多面性を増して拡大発展している.26年度は3階の微分方程式とそのモジュラー解,準モジュラー解に関することを中心にした2編の共著論文をまとめ投稿中である. 代表者と鍬田政人との,古典的なヤコビのテータ関数の関係式を楕円曲面の数論に応用する共同研究は,レベル偶数の場合が新しいことが判明しているが,レベル6に加え8の場合を詳細に研究した.論文は現在執筆中で,レベル10の場合も含め拡張することを検討中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請書に記した五つの観点のいずれにおいても一定の研究の進展があった上に,Arakawa-Kaneko ゼータ関数の姉妹版の発見と,主にその特殊値に関する種々の結果は当初の計画では全く予期していなかった発展であった.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き連携研究者や共同研究者との連絡を密に保ちながら,申請書の研究目的に沿った研究を推進する. 今年度は最終年度であるので,これまでの成果の発表にも力をいれつつ,今後の更なる発展につながるよう,有力な海外研究協力者である Don Zagier や Ken Ono らとの議論も深める.
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