研究課題/領域番号 |
23340013
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高山 茂晴 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (20284333)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 複素幾何学 / 相対標準束 / 変形空間 / モジュライ空間 |
研究概要 |
本年度の研究の主なものは以下の通りである。複素多様体間の射影的な正則写像f : X → Yを考える。fはYの開集合Y_0上で滑らかとし、fの一般ファイバーX_yの小平次元κ(X_y)は半正とする。このとき相対多重標準束mK_{X/Y}に標準的に定まるNarashimhan-Simha特異エルミート計量h_mを入れ、そしてさらにその順像層f_*(mK_{X/Y})にはh_mに付随して定まる、これも標準的な特異エルミート計量g_mを入れことができる。これらh_m, g_mがともに正な曲率をもつこと、その滑らかさ等について研究した。一般に順像層f_*(mK_{X/Y})は局所自明層とは限らず、その特異エルミート計量g_mについても、その定義も含め議論が必要である。この部分は前年度の研究が生かされ、基本的な性質を整理するのに時間が節約できた。 一方で、上述のようなf : X → Y の特異ファイバーの複雑さを調べるために、射影空間P^N内に埋め込まれた一般に特異点をもつ部分多様体Zの一般ガウス写像の研究を行った。Zの各点の接平面を含む超平面らを考えることで、Zから適当なグラスマン多様体Gへの写像、一般ガウス写像が得られる。その像のG内のプリュッカー次数の次元dim Z、次数deg Z、Nによるエフェクティブな評価を与えた。これは古典的なCastelnuovoの定理の一般化とみなせる。後半の研究はアメリカHuston大学のG. Heier氏との共同研究であり、論文としてまとめて雑誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね本研究課題の基礎となる部分についての研究は済んだ。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの基礎理論の応用に向けた研究を行う。特に正則写像f : X → Yの一般ファイバーがカラビ-ヤウ型多様体である場合に、ファイバー上のカラビ-ヤウ計量の退化、多様体としてのファイバーの退化、底空間上に標準的に定まるWeil-Petersson型計量の退化・発散の関係について研究する。
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