研究概要 |
本研究課題の連携研究者でもある深谷賢治氏(京都大学理学部)、小野薫氏(京都大学数理解析研究所)およびYong-Geun Oh氏(ウイスコンシン大学、米国)、Mohammed Abouzaid氏(MIT、コロンビア大学、米国)との共同研究により、フレアーコホモロジーの研究を行い、今年度は次の研究を行った。(完全とは限らない一般の)シンプレクティック多様体が与えられた時、そのラグランジアン部分多様体の集合が深谷圏を生成するための十分条件を、ホッホシルトホモロジーから量子コホモロジーへの開閉写像の像が単位元を含むという形に定式化し、その証明の主要な部分を完成させた。現在、証明の細部の検証を行ないつつ論文を執筆中である。これは、交付申請書における「研究目的」および「研究計画」の中で述べたトーリック多様体のホモロジー的ミラー対称性予想を解決するために第一ステップとして述べた、深谷圏の生成元を同定する問題に対する重要な成果である。一方、1990年半ば頃に深谷・小野により創始された倉西構造の理論、およびそれを用いておこなわれる安定写像のモジュライ空間の仮想基本類及びチェインの構成は、我々の研究においても基本となるが、今年度は、さるところからの要望により、倉西構造の理論の基礎および仮想基本類及びチェインの構成についてその解析的な部分も込めて議論と証明の細部を詳しく書き、論文 Fukaya, Oh, Ohta, Ono, `Technical details on Kuranishi structure and virtual fundamental chain.’ arXiv:1209.4410. を257ページのプレプリントとしてアーカイブ上で公表した。
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