研究課題/領域番号 |
23340020
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 一之 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70188291)
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研究分担者 |
山崎 武 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30336812)
只木 孝太郎 中央大学, 研究開発機構, 機構准教授 (70407881)
鈴木 登志雄 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (30235973)
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キーワード | 数学基礎論 / 超準モデル / ランダム性 |
研究概要 |
本研究のねらいは、数学基礎論的方法、とくに超準モデルを用いる手法により、ランダム性のダイナミズムを巨視的かつ組織的に捉え、ランダム性に対する理解を一層深めると共に、その根底にある確率やゲームの基本概念に対して新たな計算論的知見を得ることにある。そのため、この領域の研究が盛んな諸外国との交流を促進すると共に、将来を担う人材の育成と周辺分野との連携強化を図り、研究の基盤を固める。 本研究は次の5つの小課題に分けて遂行する。1. 構成的測度論の超準解析的議論の枠組みを作ることを目的として、本年度はこれまでの仕事の整理と新しい研究情報の交換を行い、次年度以降に備えた。2. 計算可能な閉集合と1-ランダムの関係について、海外協力者の協力を得て、次数構造の性質について調べた。3. 決定木について、特に入力ビットに0、1が割り振られる確率が独立である場合に限定して複雑性の変化について研究した。4. アルゴリズム的情報理論の統計理学的解釈について研究した。5. 無限ゲームの基礎については、これまでの仕事の整理と情報収集をしながら、グラフ上の確率ゲームについても研究した。 2012年2月20日~23日に東京晴海で研究代表者の主催によって国際会議 Workshop on Proof Theory and Computability Theory 2012 を開き、これに合わせて海外の研究協力者たちを招聘し、本研究の進展状況について情報を交換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のねらいは、数学基礎論的方法、とくに超準モデルを用いる手法により、ランダム性のダイナミズムを巨視的かつ組織的に捉え、ランダム性に対する理解を一層深めると共に、その根底にある確率やゲームの基本概念に対して新たな計算論的知見を得ることにある。そのため、この領域の研究が盛んな諸外国との交流を促進すると共に、将来を担う人材の育成と周辺分野との連携強化を図り、研究の基盤を固める。とくに初年度である本年度に おいては、国内外の先端研究者と先行研究について情報交換をし、研究の方策を検討することを主要目的の一つとした。それが順調に進展している理由としては、2月20日~23日に東京晴海で開催した国際会議Workshop on Proof Theory and Computability Theory 2012 において、海外の研究協力者3名や代表者の研究グループの10名の大学院生を含め、20人以上が講演を行い、活発な討議がなされたことがある。それ以外にも、本研究のメンバーは個々に多数の会議にした。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究準備に基づき、数学基礎論的方法によるランダム性の理論的、また応用的研究を一層進める。引き続き,5つの小課題に分けて研究を遂行する。1. 超準解析の論理的基礎については、前年度の準備を踏まえ、計算可能な力学系を扱う枠組みを検討する。2. ランダム性の概念に基づく還元可能性による次数構造を研究する。 3. 決定木について、特に各ビットに0、1が割り振られる確率が独立である場合の計算複雑さについてさらに調べる。4. 停止確率Ωを通してアルゴリズム的ランダム性と統計力学を結びつける理論を推進し、さらに量子測定の困難さと不完全性定理の関係を検討する。5. ゲーム理論の論理的基礎に関する研究を継続するとともに、それに基づく確率論の展開について考察する。より広範囲の研究者との交流を目的とした国際会議を開催する。
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