本研究のねらいは、数学基礎論的方法、とくに超準モデルを用いる手法により、ランダム性のダイナミズムを巨視的かつ組織的に捉え、ランダム性に対する理解を一層深めると共に、その根底にある確率やゲームの基本概念に対して新たな計算論的知見を得ることにある。そのため、本領域の研究が盛んな諸外国との交流を促進すると共に、将来を担う人材の育成と周辺分野との連携強化を図り、研究の基盤を固める。 本研究はいくつかの小課題に分けて研究を遂行してきたが、その中でゲーム決定木に関する研究とアルゴリズム的ランダム性に関する研究は平成25年度までで主な目的を達成した。また、超準解析の論理的基礎と逆数学的確率論、ならびにランダム性の概念に基づいた計算構造についての研究は、代表者の指導による学生たちの博士論文において優れた成果が得られており、人材育成という面からも当初の目的を達した。最後に、ゲーム理論の論理的基礎や確率ゲームについては今後の発展を期するレベルに終わったが、次の研究計画に引き継ぐために問題点を講究し、多方面の研究者と情報交換を行い、研究の総括を行った。また、新たな外国人学振研究員が研究室に加わったこともあり、これまでの路線を踏まえつつ、次年度に向けてグループの研究方針を策定した。 2015年3月、英国Leeds大学のS. Wainer名誉教授らを仙台に迎えて、代表者の研究グループの成果について概要を説明して評価を受けた。とくに若手人材が育っていることが高く評価された。
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