研究課題/領域番号 |
23340022
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
赤平 昌文 筑波大学, 副学長 (70017424)
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研究分担者 |
鳥越 規央 東海大学, 理学部, 准教授 (40297180)
大谷内 奈穂 筑波大学, 数理物質系, 助教 (40375374)
青嶋 誠 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90246679)
小池 健一 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90260471)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 非正則分布 / 切断指数型分布族 / 極値統計量 / 漸近展開 / 位置母数 / 位置共変推定 / 荷重推定量 / 漸近集中確率 |
研究概要 |
正則条件が必ずしも成り立たないような非正則の場合には、正則な場合とは異なる結果が得られているものの未解決の問題が残されている。本研究において、高次漸近展開の観点から、推測における非正則構造のもたらす情報を把握し、それを統計量に取り込むことによって、高次まで漸近的に十分な性質を持つことができることを示す。また、そのような統計量に基づいて高次に漸近有効な推定方式や検定方式等を行うことによって、非正則な推測構造の解明を目指す。本年度には、まず、非正則分布の典型である両側切断分布族の位置母数の推定問題を考えた。従来、このような分布族の場合にPitman推定量の漸近展開を導出し、その漸近分散を求め、さらに切断点での密度の値による荷重推定量の漸近分布による比較も行った。一方、同じ分布族で極値統計量は1次の漸近情報量損失は0になるが、2次の漸近情報量は正値になることが分かり、さらに極値統計量と漸近補助統計量の組から成る統計量の2次の漸近情報量損失が0になることも示されている。他方、「位置共変推定の観点から、極値統計量から作られる荷重推定量の2次の情報量損失が0になるか」という問題が提起されたが、これについては本研究において、その荷重推定量Tの1次の漸近情報量損失が求められ、それが正値であることを示した。これは1次元の推定量であるTは元のデータが持つ情報量を漸近的に回復できないこと意味する。また、Pitman推定量の漸近展開を用いてその漸近分布を求め、また極値統計量から成る荷重推定量の漸近分布も求めることができるので、それらの推定量の漸近集中確率を求めて比較したところPitman推定量は荷重推定量より漸近的に一様に良いとは限らないことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の2年度目であるが、研究の目的に向かって統計的推測における非正則構造の解明へのアプローチが探られ、その方法が定まりつつある。特に、両側切断分布族における母数の推定量の漸近的性質に関する成果も得られたのので、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的に従って、両側切断分布族において位置母数のPitman推定量、荷重推定量の漸近分布を求めて、漸近集中確率によって比較したが、今後は、高次のオーダーでも非正則構造を解明する方向で推進していく予定である。また、事前分布を想定するベイズ的な見地からも、適切な情報量を用いて推測の非正則構造の解明を目指して研究を遂行していく予定である。
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