研究課題/領域番号 |
23340027
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
尾畑 伸明 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10169360)
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研究分担者 |
日合 文雄 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (30092571)
久保 英夫 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (50283346)
福泉 麗佳 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (00374182)
鈴木 香奈子 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (10451519)
長谷川 雄央 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (10528425)
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キーワード | 関数解析学 / 量子確率論 / 無限次元解析 / 複雑ネットワーク / スペクトル解析 / フォック空間 / 量子ホワイトノイズ / 量子確率過程 |
研究概要 |
解析的側面として量子ホワイトノイズ理論、代数的側面として複雑ネットワークのスペクトル解析をコアテーマとして取り上げ、その基礎理論を深化させるとともに関連分野との連携を強化することで、量子確率解析を大きく展開することを目指している。特に、古典論の背後にある非可換的な構造をさぐり、ガウス型を含むより一般の量子確率過程を発展させ、ネットワーク上の確率解析や非線形拡散方程式に新しいアプローチを導入することを念頭に5課題を設定している。 (1)フォック空間上の作用素の変換理論:ボゴリューボフ変換などを含む2次の量子ホワイトノイズから生成される変換群の一般的な定式化とユニタリ化問題を中心に研究を進めた。(2)一般化された量子確率微分方程式と古典論への還元:新しく導入した量子ホワイトノイズ微分による微分方程式による作用素の特徴づけを得た。(3)多様な独立性に付随する量子確率解析:ガウス型を含む一般論の構築に向けて、q変形ホワイトノイズに関する準備的研究を継続している。(4)複雑ネットワーク上の量子確率解析:マンハッタン積に関して、因子の個数が小さいときには固有値分布を完全に決定し、パスが長くなるときの漸近的スペクトルを導出した。マンハッタン積を量子確率論の独立性と関連させる方向で研究を進めている。距離kグラフのスペクトル解析の具体例を検討した。(5)物理学への応用:量子ウォークの統計的性質、特に局在化を通して、古典論では反映しないネットワーク構造を捕まえる可能性を見出した。非線形シュレーディンガー方程式や波動方程式の漸近挙動に関連する偏微分方程式の諸手法を検証し、量子確率解析との接点を探った。 関連する研究集会を主催し、周辺分野の研究者との接点を常に確保するとともに、多くの論文発表・口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)ボゴリューボブ変換の一般化を量子ホワイトノイズ解析の枠組みに取り込むことができ、正準交換関係の変換やユニタリ化問題に対する見通しがよくなった。 (2)新しく導入した量子ホワイトノイズ微分による微分方程式による作用素の特徴づけが得られた。この方向で、古典確率解析におけるギルサノフ変換の量子版を構成し、古典-量子対応を議論する道筋が見えてきた。 (3)複雑ネットワーク上の量子確率解析が進展し、マンハッタン積のスペクトル解析、量子ウォークの局在化について基礎的な成果が得られ、さらなる発展が見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果を踏まえて、(1)フォック空間上の超関数的作用素論である「量子ホワイトノイズ理論」の深化をめざす。新しく導入した量子ホワイトノイズ微分による微分方程式による作用素の特徴づけ、特にボゴリューボフ変換とその一般化を詳しく調べる。(2)古典確率解析におけるギルサノフ変換の量子版を構成し、古典-量子対応を確立する。非線形拡散方程式の量子版や高次ホワイトノイズと付随する確率過程に向けた準備研究を行う。(3)自由確率論のq変形を確率解析に展開するための準備研究を行う。関連する作用素不等式や自由エントロピー論からの知見を提供してもらい進展を図る。(4)これまでに構築してきた量子確率論的手法を複雑ネットワークに適用すべく拡張する。(5)ボゴリューボフ変換のユニタリ性の検証に関連して、場の量子論の立場から連携研究者の協力を得て散逸量子系に応用することを狙う。非線形シュレーディンガー方程式や波動方程式の漸近挙動に関連する偏微分方程式の諸手法を検証し、量子確率解析との接点を整理する。
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