研究課題
基盤研究(B)
準アーベル多様体Aへの整正則曲線fに対して得られた第2主要定理の応用を中心に研究した。P.Corvaja(Udine大学)と共同でAの超曲面Dを与えると、偏極準アーベル多様体(A,D)の同型類は基本的に複素平面の離散点分布f^<-1>(D)が無限遠点で作る集合の芽f^<-1>(D)_∞で決まることを示した(山ノ井の一致の定理の拡張)。また交点f(C)・Dは、D内でザリスキー稠密であることを証明しLang-Axの結果の幾何学邸精密化を与えた。同様な結果を代数体上の線形トーラス群内の算術回帰列について証明した。正則曲線の基本予想について可微分接続を用いる手法を引き続き研究し、一般のコンパクト代数多様体への整曲線に対する第2主要定理を証明した。これは、1933年のH.カルタンによる第2主要定理に初めて幾何学的証明を与える。J.Winkelmann(Bochum大学)との共同研究で、コンパクト複素多様体への有理型写像の値分布を考える時、ケーラーか非ケーラーかで差がある現象を初めて捉えた。阿部(広島大学)と濱野(福島大)との共同研究で岡の余零問題を解決した。同次に種々の興味深い例を発見し、今後の進展が期待される。また、リーマン領域の場合の岡の定理(Oka IX)に簡単な直接的証明を与えた。連携研究者の大澤は、Gunning-Narasimhanの定理の評価付精密化に試行的な結果を得た。同じく山ノ井は、極小曲面の梅原・山田問題の解決を得た。濱野は、調和スパン・びSchifferスパンの変分公式を示し、擬凸状変動の定理を得た。辻は、ケーラー・リッチ流の大域特異解の存在と一意性を証明し、足助は複素解析的な葉層構造の特性類の研究を進展させ、平田はディオファンタス問題の中で線型回帰数列を底とする指数方程式の整数解の決定や単数方程式の解の個数評価の研究を行った。研究成果の海外発信を積極的に行った。国際研究集会Akko(イスラエル)、Luminy(フランス)、Notre Dame(アメリカ)でそれぞれ招待講演を行った。また国内の研究集会でも多くの講演を通して当研究課題の意義と重要性を喚起した。
2: おおむね順調に進展している
目的に沿った具体的な成果が出てきており、数多くの講演で発表してきた。その一部は、論文として、まとめ発表する準備段階に入ってきているため。
これまでのように、国内の連携研究者及び国外の共同研究者と研究連絡をとりながら研究と遂行する。少人数でセミナーを行いアイデアの交換をする。また小規模の研究集会を持ち、共同研究を進めるきっかけとする。引き続き海外での研究成果の発信にも努める。研究計画の特段の変更は必要なく、問題点はない。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (32件) 図書 (1件)
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