研究課題/領域番号 |
23340029
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野口 潤次郎 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 名誉教授 (20033920)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 解析学 / 関数論 / 複素解析学 / 値分布論 / Vojta予想 |
研究概要 |
昨年度に引き続き交付申請書に述べた研究目的を実施計画に基づき施行した。正則曲線の値分布と整数点集合及び小林双曲性の研究を推進した。特に一般型で不正則指数が次元以上の代数多様体内の整曲線の退化定理を我々が得ていた第2主要定理を改良することにより証明した。Green-Griffiths予想の部分的解決としては,次元一般で数値的不変量のみよる条件下では現在最良の結果である。これまでの成果を纏めた英文著書を世界的に有名なSpringer社のGrundleherenシリーズから出版した。小林昭七記念会議での講演では小林双曲性とLang予想について当該研究代表者の成果を含むこれまでの進展をまとめ次へのステップとした。これを含め葉山シンポジウム、トレント研究集会、モントリオール中期特別研究プログラムに参加し研究情報の交換と成果の発信を行った。 連携研究者(以下同)の大沢は、レビ平坦性を研究し、ホップ曲面内の実解析的レビ平坦面で正則域の境界となるものを分類した。山ノ井は、アルバネーゼ次元最大かつ一般型な複素射影代数多様体内の超越的および代数的な曲線に対して、Nevanlinna理論を用いて統一的な研究を行った。足助は、横断的に複素解析的な葉層構造の二次特性類と,擬半群のFatou-Julia分解について研究した.濱野は、一般種数の境界つきリーマン面R上の半完全正則微分のなす空間S(R)の再生核を研究し、正則族{R(t)}の全体空間が複素2次元スタイン多様体の場合,S(R(t))の再生核は対数的多重劣調和であることを示した。平田は、多重対数のある値の一次独立性をディオファントス近似を用いて証明した。またディオファントス近似の手法による整数格子の決定問題およびその応用を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
整正則曲線について打ち切りレベル1の第2主要定理がさらに改良され、Green-Griffiths予想について一般次元で最良の退化定理が得られた。研究成果に関する論文が順調に出版されつつある。これまでの研究成果を統一的観点から著述する本を海外連携研究者であるJ. Winkelmannとの共著でSpringer, Grundleheren(Vol.350)から出版した。また、当該研究の成果を取り入れたこの専門分野の入門書(和文)を昨年出版し、その英語版を現在準備中である、英訳は6割方進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究は順調に進展してきているので、これを継続する。更に来年度は、当該研究課題の最終年度であるのでその纏めとこれまでに見いだした新しい研究課題の整理を行う。
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