研究課題/領域番号 |
23340030
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
名和 範人 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90218066)
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研究分担者 |
福泉 麗佳 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (00374182)
坂上 貴之 北海道大学, 理学研究院, 教授 (10303603)
吉田 伸生 京都大学, 理学研究科, 准教授 (40240303)
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キーワード | 乱流 / 超流動 / 非線形光学 / 非線形偏微分方程式 / 確率解析 / シュレーディンガー方程式 / オイラー方程式 |
研究概要 |
本研究は,非線形光学や超流動と関係する(A)非線形シュレーディンガー方程式などを解析するグループと(B)古典乱流を解析するグループに分かれている. グループ(A)では,ボース=アインシュタイン凝縮の超流動のモデル方程式と考えられる場合に基底波解が2種類の不安定方向(散乱不安定と爆発不安定)を持つ事を示した.名前とは裏腹に散乱不安定性が物理的にはボーズノバと呼ばれる現象と関係しているようだ.4編の論文の内,2編が投稿中で1編がすでに掲載されている,残り1編も間もなく投稿される.このような状況でランダムなノイズが加わった場合の状況の変化を見るべく,数学的な理論の整備も進めている. グループ(B)では,乱流の新しい数学的な理論の建設を目指して,(B1)マクロな視点と(B2)ミクロな視点からの両方からアプローチしている.(B2)では非ニュートン流体の方程式に(乱流の定常性を維持すると考えられる)確率論的なノイズを加えた場合の解の存在定理を示した.これが乱流のサンプルを実際に与えるものであるかを今後検討して行く.(B1)は,流体の方程式から一旦離れて「乱流」と呼ばれるものの属性から理論を構築しようとするもので,擬似的な「ギブス測度」が定義できそうなことが分かった.この「測度」の台(乱流のサンプル)は散逸的弱解と呼ばれるものと予想されるが,厳密な数学とするためには微妙な問題を含んでいることがわかり,数値的な検証を進めているところでもある.しかしながら雑誌Nonlinearityに招待論文として推薦され執筆中である.これと関係して時空1+2次元のオイラーα方程式の散逸的弱解の一つの性質についての解析も行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各研究グループにより多少の差はあるが,1年目の達成目標はクリアできていると思われる.ただし,マクロな視点から乱流を定式化し直そうとする試みは,オイラー方程式の散逸的な弱解に関するDe LellisとSzekelyhidi Jrの一連の新しい論文を検討する必要があり,少し回り道をすることになったが,彼らの結果から触発されるものも多く,我々の理論の数値的な検証の方向性もより明確になった.
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今後の研究の推進方策 |
非線形シュレーディンガー方程式の解析においては,今年度得られた成果を確率論的な手法であるネルソン拡散を使った方法で証明できないか考える,このような視点は,非線形光学のモデルと考えた場合に新しい知見をもたらしてくれる可能性がある.また基底波解の近傍での解のより詳細な振る舞いを調べることも重要と思われる.乱流をマクロな視点から定式化する試みは,微妙な問題を含んでいる事がわかり数値的な検証の重要性が浮かび上がって来たので,連携研究者の松本(京大)を分担者に加えて理論研究のサポートを強化する.
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