研究概要 |
(1) 特異な係数をもつ境界条件下における熱方程式福島大の石渡通徳氏と共に, 境界条件として一次の特異性をもつ第3種境界条件を課した場合, 半空間上の熱方程式の時間局所正値解の存在・非存在は加藤の不等式の最良定数と密接な関係があることを示した。この結果は、バラス氏とゴールドシュタイン氏による 1984 年の論文で取り扱われたポテンシャル項をもつ熱方程式の局所正値解の存在・非存在の結果と類似のものであり, その証明には カブレ氏とマーテル氏による1999年の論文における考察が有効であった。 (2) ローマ大学のアンドレウッチ氏と共に, ポテンシャル項付き熱方程式の解の等高面の凸性に関して研究を行い, 等高面の凸性に関する新たな臨界値を発見した。 (3) 大阪府立大の川上竜樹氏と共に, 熱核のように振る舞う半線形熱方程式の解の高次漸近解析について研究を行った。これまでに石毛らによって得られた解の空間微分に依存した非線形項をもつ半線形熱方程式に対しても適用すべく理論の再構築が行っていたが、今年度においてはその理論の精密化を行った。 (4) フィンランドのキヌーネン氏と共に、二重非線形をもつある準線形方程式は熱方程式の一般化とみることができる、ある良い構造をもつことに着目し, その非負解の初期値のみたすべき条件を与えた. この条件は 1996年に石毛によって与えらた解の存在に対する十分条件と同じものであり, 結果として解が存在するために必要な初期値の空間無限遠点における増大度が決定されたことを意味する。
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