研究課題/領域番号 |
23340036
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松村 昭孝 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (60115938)
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研究分担者 |
茶碗谷 毅 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (80294148)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 非線形保存則 / 時間大域解 / 漸近挙動 / 半導体方程式 / 粘性保存則 / 圧縮性オイラー方程式 |
研究概要 |
研究代表者松村は、研究協力者の大学院生吉田夏海との共同研究において、単独粘性保存則の初期値問題に対する時間大域解の漸近挙動の問題を、移流項の関数が一部区間で線形でありその他では一様な凸性を持つ場合について考察し、適当な初期値の条件の下に、解は希薄波と粘性接触波で構成される多重波パターンに漸近することを示した。また、JSPSポスドク Xiangdi Huangとの共同研究において、空間3次元における粘性気体のbarotropicモデルの初期値問題に対する球対称解の古典解について考察し、時間大域解が存在しなくなる時間には必ず原点で質量が発散することを示し、現在この結果の軸対称解などへの拡張を試みている。研究分担者茶碗谷は、交流電場により駆動された磁壁の運動を記述するモデル系における分岐を調べカオスの発生を伴う周期運動の不安定化のメカニズムを明らかにした。現在、対称性等による拘束条件の元にある力学系における分岐構造、特に準周期外力系における分岐構造の解析について、数値的な解析方法の開発及びそれを用いた解析を行っている。連携研究者西畑は、プラズマが固定壁に接する境界周辺に構成されるシースと呼ばれる境界層について研究し、Bohm 条件の下で、定常解の存在と時間安定性を証明した。連携研究者の小田中は、半導体における量子流体モデルについて、量子エネルギー輸送モデルを導出し、それに対する数値スキームと反復解法を開発、定常問題に対する数値シミュレーションを実現した。連携研究者柘植は主にノズル内の気体の運動を表す圧縮性オイラー方程式について、その時間大域解の存在に関する新結果を得た。携研究者甲斐は、一次元粘性保存則のある初期値境界値 問題の解の漸近挙動について、L1空間での縮小性と比較定理を組み合わせることで、任意の流束に対し解はL1空間の位相でリーマン解に収束することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、本補助金のお蔭で、研究協力者、分担研究者や連携研究者さらには中国科学院の研究者を含む多くの研究者間の研究交流が可能となり、この相互交流によって、研究実績の概要に記したようにそれぞれに研究が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究交流の成果に基づき、改めて連携研究者や研究協力者との研究交流、また関係研究者間の交流の時間を確保することこそが推進の方策である。特に本年度も、中国科学院の研究者複数名を、テーマと先方の都合に応じ2週間から1月間大阪大学に招聘し実質的な研究進展を図る予定である(一昨年11月から学術振興会のポスドク研究員として、中国科学院数学研究所の助教授が2年間の予定で滞在中であることから、さらなる共同研究の進展が期待される)。
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