研究課題/領域番号 |
23340042
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
横山 央明 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00311184)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 天文 / 太陽物理学 / プラズマ |
研究概要 |
本研究の目的は、太陽活動のエネルギー源である「磁場の起源」の理解であり、そのメカニズムとしての「ダイナモ」モデルの完成である。具体的には、ダイナモの基本的な要素である、太陽差動回転の自己調和的なモデルの構築・熱対流乱流の効果の定量化・生成した磁束管の星内部でのダイナミクスを本研究期間内に明らかにしたいと考えている。 2012年度は、以下のことを実施した。「(1) 対流層内部自転の差動回転分布の実現」のために、独自開発したシミュレーション=コードで、(自転なしの)星全球磁気熱対流計算を実施した。音速抑制法という新たなアプローチと、理研「京」計算機をもちいた、世界最高解像度かつ星表面付近を含んだ計算により、これまでにない知見をえることに成功した。具体的には、対流層中層付近での乱流構造が表面からの熱対流の影響をうけて、小スケールが卓越していること、この小スケール流れにともなって強い磁場が増幅されており、いわゆる局所的ダイナモ機構がはたらいていること、を初めて明らかにした(査読論文執筆中)。いっぽう「(2)磁束管の浮上過程」に関連して、浮上の際に起こる「磁束管爆発」と呼ばれる現象の3次元シミュレーション(Hotta et al. 2012)、解適合格子の能力をフルに生かして磁束管のねじれ獲得機構の研究などを実施した(Hotta & Yokoyama 2012)。さらに、表面付近での浮上過程のシミュレーションの結果から予言された水平表面流という前兆現象について、観測的に発見した(Toriumi et al. 2012)。また日震学的手法を用いて磁束管浮上過程を太陽内部で時間発展的にとらえることに初めて成功した(査読論文投稿中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたコード開発は終了した。本格的シミュレーションのうち、自転ありの計算は実施しているが意図したのと異なる結果になっており、研究継続中。いっぽう自転なしの計算はすでに磁場を入れており、上記のように新しい知見を得て論文準備中。磁束管浮上のシミュレーションは順調に進んでいるうえに、上で報告した新しい課題をいくつか見つけ論文を順に出版した。以上を総合的に評価すると、順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
このあと、自転ありの計算をすすめるとともに、予定していた、熱対流乱流効果をいれた磁束浮上シミュレーション、乱流輸送効果の定量化に進む予定である。
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