本研究の目的は、太陽活動のエネルギー源である「磁場の起源」の理解であり、そのメカニズムとしての「ダイナモ」モデルの完成である。具体的には、ダイナモの基本的な要素である、太陽差動回転の自己調和的なモデルの構築・熱対流乱流の効果の定量化・生成した磁束管の星内部でのダイナミクスを本研究期間内に明らかにしたいと考えている。 2014年度は、以下の研究を実施した。「(3)熱対流乱流により駆動される粘性拡散・磁場増幅・角運動量輸送の検証と定量化」に関連して、これまでに実施してきた星全球計算のうちの空間一部を切り出して、極めて高い空間分解能でシミュレーションを実施して、熱対流磁気乱流により熱拡散輸送について調べた。結果として、乱流によって生じる磁場が、乱流流れそのものに強く揺り返しを与え、結果として平均的な熱輸送に大きく影響することがわかった。これは計算解像度をあげることでより詳細な乱流構造が明らかになるとともに、発生する磁場のエネルギーが無視し得ないほど強くなることを示している。また「(4)表面磁場ダイナミクスの研究」に関連して、独自の高精度放射磁気流体コードを作成、太陽対流層から上層大気コロナまでを結合することに成功し、スピキュールと呼ばれるジェット現象を再現することに成功した。
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