研究課題
本研究は、我々Microlensing Observations in Astrophysics (MOA)グループが行っている重力マイクロレンズによる系外惑星探査を3年間継続する事によって、I.世界で初めて地球質量の系外惑星を発見する。また、全質量領域で系外惑星を約18個発見し、スノーラインの外側での地球質量を含む系外惑星の質量関数、軌道長半径分布を精度良く見積もる。スノーライン外側では、多くの地球質量や海王星質量の惑星が形成されると考えられており、本研究により惑星形成理論に強い制限を与える。また、世界で初めて銀河系内での惑星系分布も求める。II.主星を伴わない浮遊惑星を約40個発見し、存在量、質量分布を見積もる。これにより、従来の観測で測られている「現在の惑星数」ではなく、元々惑星系でどれだけの惑星が形成されたかを初めて見積もる事ができる。平成23年度は、日本のメンバー(申請者、連携研究者、大学院生8人)がニュージーランドに行き、1.8m望遠鏡で22領域(50平方度)を毎晩観測し、485個のマイクロレンズイベントを発見し、世界中にアラートを発信した。このアラートを元に世界中の追観測グループが追観測を行った。そして、我々は系外惑星を4個発見する事に成功した。また、浮遊惑星候補である、タイムスケールの2日以下の短いイベントを5個発見して、順調に統計数を増やす事に成功している。現在これらの惑星イベントの詳細解析を行い論文にまとめている。本年度の観測は順調に進み、予定通りの成果を上げつつある。さらに、リアルタイムで光度曲線の惑星モデルフィットを行い、できるだけ早く惑星か連星かの判別ができるシステムを開発し、検出効率を上げた。
2: おおむね順調に進展している
観測は年間を通じて従来通り順調に進み、成果としては、系外惑星4個、浮遊惑星候補5個を発見して、目標通りであった。
来年度以降も、このまま観測を継続して、惑星の統計数を増やす。また、本年度発見した系外惑星イベントの解析を速やかに終えて、論文を投稿する。また統計処理をするために、我々の観測の検出効率の計算をすすめる。研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点は特にない。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
ApJ
巻: 746, 12(Refereed) ページ: 7
10.1088/0004-637X/746/2/127
Nature
巻: 481(Refereed) ページ: 167-169
10.1038/nature10684
The Astrophysical Journal
巻: 741(Refereed) ページ: 22
10.1088/0004-637X/741/1/22
巻: 473, 7347(Refereed) ページ: 349-352
10.1038/nature10092
MNRAS
巻: 413(Refereed) ページ: 1244-1250
10.1111/j.1365-2966.2011.18206.x
A&A
巻: 529(Refereed) ページ: A102
10.1051/0004-6361/201016111
巻: 738 ページ: 87-107
10.1088/0004-637X/738/1/87